気狂いピエロとは？意味をやさしく解説

映画『気狂いピエロ』の詳細

『気狂いピエロ』（きちがいピエロ、フランス語: Pierrot Le Fou）は、1965年に製作されたフランスとイタリアの合作映画で、ヌーヴェルヴァーグの代表作の一つとして知られています。この作品は、ジャン＝ポール・ベルモンドが主演し、ジャン＝リュック・ゴダールが監督を務めています。

概要

本作は、ライオネル・ホワイトの小説『Obsession』（1962年）が原作ですが、ゴダール独特の映画作りが反映されており、脚本の構造にとらわれず、ほとんどのシーンが即興で撮影されています。また、訳書として『気狂いピエロ』（矢口誠訳、新潮文庫、2022年）が存在します。

ゴダールはマリアンヌ役にシルヴィ・ヴァルタンを考えましたが、エージェントが拒否したため、元妻であるアンナ・カリーナを起用しました。映画の撮影は1965年5月24日から始まり、フランス本土、ポルクロル島、トゥーロンを舞台に撮影が行われました。最後はパリで7月に再開され、最終的に撮影は終了しました。さらに、俳優のジャン＝ピエール・レオも助監督として参加し、映画作りに寄与しています。

海のシーンは、溝口健二監督の「山椒大夫」へのオマージュとされ、映画に深い印象を与えています。この作品は1965年のヴェネツィア国際映画祭で上映されましたが、観客からはブーイングを浴びる結果となりました。11月にはフランスでの公開を迎えます。

日本では1966年に開催された「フランス映画祭」で上映され、その後1967年7月に一般公開が行われました。邦題の「気狂いピエロ」は、この映画祭で初めて付けられました。

あらすじ

物語の主人公、フェルディナン（ジャン＝ポール・ベルモンド）は退屈な結婚生活に悩んでいます。そんな彼は偶然に出会ったかつての愛人マリアンヌ（アンナ・カリーナ）との一夜を過ごしますが、翌朝には見知らぬ男性の死体を発見し、彼女と共に逃避行を始めることになります。

その逃避行の中で、二人はアルジェリアのギャングに追われながらも充実した日々を過ごします。しかし、マリアンヌはフェルディナンに疲れ果て、ギャングに通じて彼を裏切ります。その後、フェルディナンはマリアンヌを銃で射殺し、さらにはペンキを顔に塗り、ダイナマイトを巻きつけることで自らの終焉を求めます。結末では、地中海が映されながらアルチュール・ランボーの詩「永遠」が朗読される印象的なシーンが展開されます。

キャスト

- ジャン＝ポール・ベルモンド（フェルディナン・グリフォン）
- アンナ・カリーナ（マリアンヌ・ルノワール）
- グラッツィラ・ガルヴァーニ（フェルディナンの妻）
- ロジェ・デュトワ（ギャング）
- ハンス・メイヤー（ギャング）
- サミュエル・フラー（本人役）
- ジャン＝ピエール・レオ（映画館の若い観客）

評価

『気狂いピエロ』は、レビューサイトRotten Tomatoesで47件のレビューを受け、支持率は87%という高評価を得ています。平均点は8.20/10にも至り、多くの観客や映画批評家に深い印象を残しました。

この作品は、自由さと破滅が交錯するドラマを描いており、ヌーヴェルヴァーグの思想を体現した重要な映画として位置づけられています。

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