水上生活者

水上生活者とは

水上生活者とは、主に船や水上に構築された建物で生活を営む人々を指します。彼らの生活形態は、地理的環境や文化に応じて大きく異なるため、広範な地域に見られます。南米やアフリカ、中東、東南アジアなど、各地に独自の水上生活のスタイルがあります。

水上生活の形態

水上生活者の住居の形態は、大きく以下のように分類できます：

1. 船 - 停泊させた船内で生活する形態で、世界各地に広がっています。例えば、アジアの河川沿いや北欧諸国など。
2. フローティングハウス - 陸上の家と同様に設計され、浮力を利用して水上に浮かべた住宅です。特にベトナムに多く見られ、集落を形成することもあります。
3. 高床建物 - 杭を打ち、その上に構築された住居です。多くの場合、通路により家同士がつながっている大規模な集落になることも。
4. 水辺の住宅 - 河川沿いに建てられ、下層部を船着場として利用する住居です。

水上暮らしを選ぶ理由は、国や地域、さらには時代によって異なります。漁特化の利便性や、紛争からの防御、地上の害虫からの安全性などが主な理由として挙げられます。

日本の水上生活者

日本には、特に近代以前から「家船」と呼ばれる水上生活者が存在しました。九州や瀬戸内海、日本海沿岸に多く、明治維新の前は地方ごとに異なる呼称がありました。例えば、九州では「エフネ」や「エンブ」、瀬戸内海では「フナズマイ」などです。

家船は戦後も瀬戸内海地域で多く見られましたが、1960年代には陸上への移住が進み、その姿は次第に消えていきました。また、19世紀末からは、貨物船の大型化に伴い、随所で艀を所有する港湾労働者が水上生活を始めるようになりました。彼らは自らの艀の一角を居住空間として使い、東京などの地域では数万人が水上生活をしていました。水上会館や水上学校といった施設も設けられ、居住者の生活をサポートしていました。

しかし、1960年代にはコンテナ船化が進み、水上生活者の数は減少していきました。さらに、艀の廃船が住宅として流用されるようになり、1980年代にはほとんどの艀が老朽化し水上生活は姿を消しました。

又、京都の伊根町には、舟屋と呼ばれる独特な建築様式があり、船の収納庫の上に居住空間が設けられています。これは重要伝統的建造物群保存地区としても認定されています。

他国の水上生活者

他の国でも水上生活者が見られます。例えば、カンボジアのトンレサップ湖では、年により水位が大きく変動し、漁獲のために様々な住居形態が形成されています。

また、ベトナムのハウザン上流域にはフローティングハウスが集まっており、社会的な生活形態が見られます。

さらに、ブルネイのカンポン・アイールは43の村と39,000人を有する東南アジア最大の水上集落として知られています。

このように水上生活者は、地域や文化によって多様な生活形態を持ち、独特の社会構造を形成していることがわかります。彼らは、ただ水上で生活する人々というだけでなく、それぞれの環境に特化した生活様式を持ち、地域の歴史や文化の一部を形成している存在でもあります。

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