水上達三

水上達三

水上達三（みずかみ たつぞう、1903年10月15日 - 1989年6月16日）は、日本の実業家。

生い立ちと学歴

水上達三は、1903年、山梨県北巨摩郡清哲村（現在の韮崎市）で、農業を営む水上家の五男として生まれました。水上家は、江戸時代には庄屋を務めた家柄であり、実兄には国文学者の清水泰がいます。彼は旧制甲府中学校（現在の山梨県立甲府第一高等学校）を経て、1928年に東京商科大学（現在の一橋大学）を卒業しました。大学の同期には、後に三井物産副社長や東レ副社長を務めた町田栄次郎、三菱地所社長を務めた伊藤達二、松下電器理事を務めた乗松健二、第一電工社長を務めた松原美義らがいます。

三井物産でのキャリア

1928年、水上は三井物産に入社し、高崎派出所駐在員として最初の6年間を過ごしました。その後、肥料部や天津支店を経て、北京支店支店長代理となり、太平洋戦争終戦を北京で迎えました。終戦後の残務整理を終え、1946年に帰国。三井物産に復帰後、財閥解体により会社が分割されると、第一物産代表取締役常務、後に同社副社長を歴任しました。1954年の「三井物産大合同」後は副社長等を経て、1961年から1970年まで三井物産社長、1969年から1971年まで三井物産会長を務め、その後は同社相談役となりました。

その他の役職と活動

水上は、1961年から1963年まで社団法人経済同友会代表幹事を務め、1972年から1985年まで社団法人日本貿易会会長を務めました。日本貿易会会長時代には、貿易研究所（現在の国際貿易投資研究所）設立を主導。1989年には、日本貿易振興機構（ジェトロ）の支援のもと、貿易研究所が発展的に解消し、財団法人国際貿易投資研究所が設立されました。また、1977年から1989年まで財団法人中東調査会会長も務めています。

晩年は教育分野にも貢献し、1976年に母校である一橋大学創立百年記念事業募金会副会長に就任。同年には財団法人国際大学設立準備財団設立発起人代表にも就任し、国際大学の設立・運営に尽力しました。これらの功績が認められ、1975年に紺綬褒章、1977年に勲一等瑞宝章を受章しています。

水上の葬儀は、理事長を務めた聖路加国際病院の礼拝堂で行われました。

主な公職

社団法人経済同友会代表幹事
財団法人聖路加国際病院理事長
社団法人日本貿易会会長
東アジア貿易研究会初代会長
財団法人中東調査会会長
財団法人日本国際教育協会会長
財団法人キープ協会会長
財団法人アジア太平洋研究会組織委員
戦後処理問題懇談会会長
経済審議会国際収支分科会会長
南米経済使節団団長
ラプラタ河流域諸国経済使節団副団長
財団法人交流協会（現・日本台湾交流協会）設立発起人

参考文献

私の商社昭和史　　東洋経済新報社（1987年）ISBN 978-4492812785
貿易立国論―水上達三論集　有斐閣　（1988年）ISBN 978-4641099845

外部リンク

水上達三と貿易立国日本

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