日本台湾交流協会

日本台湾交流協会について

日本台湾交流協会は、日本と台湾の間の実務関係を円滑に進めるために設立された日本の対台湾窓口機関です。公式な外交関係がない状況下で、両地域間の交流を支える重要な役割を担っています。

設立の背景

1972年 9月29日の日中国交正常化により、日本と中華民国（台湾）との国交が断絶しました。この状況を受け、貿易、経済、技術、文化などの民間交流を維持するために、同年12月1日に「財団法人交流協会」として設立されました。当初、日本側は「日台交流協会」という名称を希望しましたが、台湾側との協議の結果、「交流協会」という名称で落ち着きました。

組織と機能

東京本部は、外務省と台北事務所間の連絡機関として機能しています。台北事務所は、かつて存在した在中華民国日本国大使館に代わる代表部として、台湾関係機関との連絡、政治経済の動向調査、在留邦人への支援、日台間の交流促進など、多岐にわたる業務を行っています。

事務所の所在地

当初、台北事務所は元日本大使館の敷地に設置されましたが、その後移転を経て、現在は慶城街28号（通泰商業ビル）に位置しています。

領事業務について

他の大使館や総領事館と同様に、査証などの領事業務も取り扱っていますが、形式上、在タイ日本大使館に業務を委託する形となっています。

その他の業務

在外投票や戸籍関係の届出、公正証書遺言などの業務は取り扱っていません。また、台湾情報誌「交流」の発刊や公式サイトでの情報発信を通じて、台湾に関する情報を広く提供しています。

名称変更と組織再編

2012年4月1日に財団法人から公益財団法人に移行し、2017年1月1日に「公益財団法人日本台湾交流協会」に名称が変更されました。これにより、組織としての透明性と公共性が一層強化されました。

主な日台協議

日本台湾交流協会は、台湾日本関係協会との間で、貿易経済会議を毎年開催し、両国間の様々な問題を協議しています。また、日台漁業交渉、日台航空交渉、租税取決め交渉など、重要な折衝も行っています。

日台漁業交渉

尖閣諸島（釣魚台）周辺での漁業トラブルに対応するため、緊急連絡窓口を沖縄県那覇市に設置することで合意しました。

日台航空交渉

台北（松山空港）・東京（羽田空港）間の航空路線の開設や、日台路線の完全オープンスカイが合意に達しました。

日台租税取決め

2015年11月には、租税条約にあたる「日台民間租税取決め」を締結しました。

主な役員

歴代の会長には大物財界人が、理事長や事務所長には元大使が就任しています。これらの役員が、日台間の交流を円滑に進めるための重要な役割を担っています。

歴代会長

堀越禎三、長谷川周重、服部禮次郎、大橋光夫などが歴任しました。

歴代理事長

板垣修、木村四郎七、西山昭、魚本藤吉郎、前田利一、原富士男、賀陽治憲、後藤利雄、高橋雅二、畠中篤、今井正、谷崎泰明などが歴任しました。

歴代台北事務所代表

伊藤博教、卜部敏男、西山昭、人見宏、原富士男、梁井新一、後藤利雄、山下新太郎、内田勝久、池田維、齋藤正樹、今井正、樽井澄夫、沼田幹男、泉裕泰、片山和之などが歴任しました。

歴代高雄事務所長

神戸浩道、野中薫、中村隆幸、中郡錦藏、加藤英次、小野一彦、奥正史などが歴任しました。

主な出来事

2003年には、断交以来32年ぶりとなる天皇誕生日祝賀会を主催し、台湾側から多くの政財界関係者が参加しました。また、2005年には、断交後初めて台湾人への叙勲が行われました。

その他の出来事

2008年には、馬英九総統の就任に際して、日本の総理大臣の公式書簡を手交し、2010年には、亜東関係協会との間で包括的な合意が締結されました。また、2011年には、復興支援・観光促進に関するイニシアティブが締結されました。2012年には、尖閣諸島国有化に反発する台湾の動きに対し、厳重抗議を行いました。

まとめ

日本台湾交流協会は、日本と台湾間の実務関係を円滑に進めるための重要な機関です。外交関係がない状況下で、両地域間の交流を促進し、相互理解を深めるための様々な活動を展開しています。その活動は、日台関係の安定と発展に不可欠なものとなっています。

参考文献

林金莖『戦後の日華関係と国際法』
内田勝久『大丈夫か、日台関係――「台湾大使」の本音録』
池田維『日本・台湾・中国　築けるか新たな構図』
台湾研究所『日文版中華民国総覧2000年版』

外部リンク

公益財団法人日本台湾交流協会
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