水中攻撃指揮装置

水中攻撃指揮装置 (Sonar Fire Control System, SFCS)

水中攻撃指揮装置、通称SFCSは、対潜兵器を制御するための射撃指揮装置です。このシステムは、ソナーから得られるデータを分析し、目標に対して正確な弾薬を命中させるための信号を発信します。これにより、ランチャーは自動的に目標を追尾し、効果的な攻撃を実現します。

海上自衛隊とSFCSの歴史

海上自衛隊の創設に寄与したくす型護衛艦（タコマ級フリゲート）では、当初、QBFまたはQJAソナーが設備されていました。対潜兵器の制御を目的として、攻撃対勢盤Mk.1 mod.5が搭載され、さらに後の国産護衛艦、はるかぜ型（28DD）では、アメリカ製のMk.105 mod.5が導入されました。

1954年、海上自衛隊は技術研究所を通じて、日立製作所に「ソーナーおよび関連する射撃指揮研究」を委託しました。この頃、アメリカから供与された攻撃指揮盤や動揺計算盤の国産化が強く求められ、日立製作所には動揺計算盤の国産化が発注されましたが、艦載化の技術的課題から、サーボ計算機を採用したシステムが最終的に完成されました。

また、同時期には日本電気に対してSFCS本体の試作が発注されましたが、アナログコンピュータの使用によるサイズの問題から、艦載化が難航しました。動揺計算盤の国産化が成功した日立製作所に、最終的にSFCSの開発も引き継がれることになりました。

SFCSの進化

初代モデルのSFCS-1は、あきづき型護衛艦にMk.108「ウェポン・アルファ」の導入にあわせて開発されました。高いロイヤルティーを避けるため、アメリカ製のソナーとは異なる独自の設計が特徴です。SFCS-1シリーズは、ソナーの探知範囲の向上に応じて様々な改造が施され、異なるバージョン（SFCS-1A、SFCS-1Bなど）が開発されました。

次世代のSFCS-2やSFCS-3は、弾道計算部のトランジスタ化および機能の国産化を進め、たかつき型では新たに航海計器にジャイロコンパスMk.19を採用することで、さらなる技術的向上を達成しました。また、SFCS-7ではボフォース・ロケットの弾道計算機能がデジタル化され、現代的な装備へと進化しています。

最新技術の導入

あぶくま型（61～01DE）では、新開発のデジタルSFCSであるSFCS-8が搭載され、最新の技術が投入されています。この進化は、今後の海上自衛隊の対潜戦能力を大いに高めることが期待されます。

さらに、海上自衛隊は、あさぎり型最終艦において、艦のソナー、ヘリのソナー、そしてSFCSの機能を統合したOYQ-102が開発され、これにより対潜戦能力の集約が実現しました。このように、SFCSは海上自衛隊の対潜戦力を支える重要な装置として、常に進化を続けています。

結論

水中攻撃指揮装置は、海上自衛隊の防衛能力を支えるために欠かせない要素であり、重要な役割を担っています。今後もさらなる技術革新と共に、その機能が拡張されていくことが期待されます。

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