タコマ級フリゲート

タコマ級フリゲート

タコマ級フリゲート（Tacoma-class frigate）は、第二次世界大戦中にアメリカ合衆国で設計・建造された哨戒フリゲートの一つです。この艦級は、アメリカ海軍が敵の潜水艦や航空機からの脅威に対抗するために必要とされた護衛艦艇の不足を受けて開発されました。

来歴

1941年、大西洋の戦いの初期においてアメリカ海軍は護衛艦艇の不足に直面しました。そこでイギリスからフラワー級コルベットの提供を受け、アクション級として運用しましたが、フラワー級では性能面に制約があったため、イギリスでは新たに設計されたリバー級フリゲートが1942年から就役を始めました。この流れの中で、カナダで建造されたリバー級2隻がアメリカ海軍に提供されています。当初はアッシュビル級としてコルベットに分類されていましたが、1943年にはフリゲートに変更され、アメリカ海軍初のフリゲートとなりました。

アッシュビル級は、アメリカ海軍が独自に改修を行い、装備をアメリカ式に統一しました。これにより、本級の建造計画が支障なく進んだため、当初計画されていたアッシュビル級8隻の取得は中止され、すべてリバー級としてイギリス海軍に就役しました。

設計

タコマ級は、リバー級と同様に商船構造で設計されているため、防御力はやや劣るものの、建造期間を短縮でき、民間の造船所で建造することが可能となりました。船体のサイズは、オリジナルのリバー級よりも全長0.8メートル、全幅0.3メートル大きく、構造もほぼ全溶接に改良されています。

また、この級の艦艇は直立型直列4気筒3段膨張式のレシプロ蒸気機関を搭載しており、主ボイラーとしてバブコック・アンド・ウィルコックス社製の水管ボイラーを用いています。蒸気圧力は約16.9 kgf/cm2に達し、両舷に設置された機関がそれぞれ1軸を駆動していました。

装備

タコマ級の装備は短船体型の護衛駆逐艦であるエヴァーツ級（GMT型）に類似しています。主砲としては、50口径3インチの緩射砲が艦首甲板と艦尾に各1基、高角機銃として40mm連装機銃が2基備えられ、これらを管制する射撃指揮装置にはMk.51が用いられました。

また、対潜兵器も充実しており、後甲板には片舷式の爆雷投射機が8基、艦尾には爆雷投下軌条2条、艦首甲板にはヘッジホッグMk.10対潜迫撃砲が装備されています。ヘッジホッグは最初期の対潜前投兵器であり、非常に高い対潜火力を誇ります。

運用

最終的には100隻が発注され、96隻が竣工しましたが、アメリカ海軍は蒸気タービンに習熟していたため、本級の運用は主にアメリカ沿岸警備隊によって行われました。また、他国への貸与も多く、建造された96隻のうち21隻がイギリス海軍に貸与され、新たにコロニー級として運用されました。さらに、大戦末期には28隻がソ連の赤色海軍に供与され、タコマ級として分類されました。

戦後、返還された艦艇のうち18隻は日本の海上警備隊に貸与され、海上自衛隊発足後にはくす型護衛艦として1972年まで運用されました。また、ソ連から返還された5隻は大韓民国海軍に貸与されて豆満級フリゲートとして運用されました。タコマ級は戦後も長い間、様々な国でその存在感を示し続けました。

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