水府橋

水府橋（すいふばし）

水府橋は、茨城県水戸市に位置し、茨城県道232号市毛水戸線の一部として那珂川を渡る重要な橋梁です。この橋は、水戸市の三の丸地区と水府町を結び、地域の交通と発展に深く関わってきました。

歴史

初代水府橋

1932年（昭和7年）3月、国道6号のバイパス工事の一環として初代の水府橋が建設されました。当時、世界的な経済恐慌の中、約1年という短期間で完成した背景には、1日あたり300人もの労働者を雇用する大規模な人海戦術がありました。当時の自動車保有台数が全国で10万台に満たない時代に、歩道を分離して設ける先進的な設計が採用されたことは、特筆に値します。

水府橋の完成により、下流に位置する寿橋を経由していた国道6号は県道に降格し、水府橋が新たな国道6号として、那珂川を渡る主要な交通ルートとなりました。これにより、水府橋を中心に交通量が大幅に増加し、それまで交通の要所であった寿橋の自動車、荷馬車、自転車の交通量は減少しました。1971年（昭和46年）に国道6号水戸バイパスが完成すると、水府橋を経由するルートは旧道となり、県道市毛水戸線に降格しましたが、水戸市中心部への主要なアクセス路としての重要性は変わらず、交通量は増加し続けました。

1988年（昭和63年）には、その歴史的・文化的価値が認められ、「日本百名橋」に選ばれました。初代水府橋は二代目の橋が開通後に解体されましたが、その一部の鉄骨を用いたモニュメントが2016年（平成28年）3月30日に設置され、そのデザイン性が評価され「茨城県うるおいのあるまちづくり顕彰事業2016」においてグッドデザイン賞を受賞しています。

二代目水府橋

初代の橋が80年以上の歳月を経て老朽化し、交通量の増加に伴い幅員が不足するようになったこと、さらに1998年（平成10年）8月の那珂川水害による河川改修の必要性から、架け替え工事が決定されました。茨城県は国土交通省と協力し、平成15年度から事業に着手し、2013年（平成25年）10月31日に二代目の水府橋が開通しました。

橋梁の概要

初代水府橋

橋長: 171m
支間長: 56m
幅員: 10.5m（車道5.5m、両側歩道2.0m）
車両高さ制限: 4.3m
橋梁形式: 鉄骨造単純下路トラス三連橋（ワーレン型曲弦トラス3連）

二代目水府橋

橋長: 354.5m
支間長: [email protected]+50.9m
幅員: 14.5m（車道6.5m、両側歩道3.5m）
車両高さ制限: 規制なし
橋梁形式: 6径間連続非合成鋼箱桁橋
工事費: 約50億円

水府橋の変遷

江戸時代には、水戸藩が那珂川を渡るための舟渡しを開設しました。明治時代には浜路橋が架けられましたが、洪水によって流失。大正時代には、初の鉄橋である寿橋（茨城県道253号水戸枝川線）が架けられ、その後、上流に水府橋（旧橋）が建設されました。国道6号水戸バイパス・水戸大橋の開通に伴い、水府橋は茨城県道232号市毛水戸線に変更されました。

2013年10月には、旧橋の老朽化を理由に、下流側の隣に新しい橋（二代目）への架け替え工事が完了し、開通しました。

参考文献

長久保光明『陸前浜街道地誌』暁印書館、1981年
松村博『日本百名橋』鹿島出版会

関連項目

日本の橋一覧

外部リンク

* 水戸土木事務所

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