水戸部七絵
水戸部七絵は、日本とウィーンを拠点に活動する画家であり、一貫して油絵による人物の顔の描写を追求しています。彼女の作品は、大胆な色彩と独特の質感を持つマチエールが特徴で、観る者を深く引き込む力を持っています。
神奈川県に生まれた水戸部は、2011年に名古屋造形大学を卒業後、画家の長谷川繁に師事しました。2016年には愛知県美術館で個展を開催し、2020年には同館に「I am a yellow」が収蔵されるなど、早くからその才能を高く評価されてきました。2019年にはホルベインスカラシップ奨学生に選出され、2021年からは東京芸術大学大学院美術研究科絵画専攻油画に在籍し、画家の小林正人に師事しています。また、同年には「VOCA展2021」で鎮西芳美の推薦を受け、VOCA奨励賞を受賞しました。2022年からはオーストリアのウィーン美術アカデミーに交換留学し、アラステア・マキンブンに師事。同年には初の作品集『Rock is Dead』を刊行しました。
水戸部は数多くの個展を開催しており、その活動は国内外に及んでいます。近年では、2023年に「Green and Red」（GUCCI NAMIKI、東京）、「NOT A GALLERY BUT A FORMAL」（NOT A GALLERY、熱海）、「黒い顔・白い顔」（rin art association、群馬）などを開催。2022年には「Let’s Have a Dream ! -作品集出版記念展-」（銀座蔦屋）、「AUN - L字の金髪と発掘された人 -」（Tokyo International Gallery、東京）、「War is not over」（void+、東京）、「傑作な風景」（YOD Gallery、大阪）、「Can we turn capital into garbage?」（ソノアイダ＃新有楽町、東京）、「Y.N.W.P. - How to turn capital into garbage -」（ソノ アイダ #新有楽町、東京）、「project N 85 水戸部七絵」（東京オペラシティ）、「I am not an Object」（gallery 5、東京）と精力的に発表を続けています。
2021年には「I can’t speak English!」（NADiff A/P/A/R/T、東京）、「Rock is Dead」（biscuit gallery、東京）、「HUMANITY」（Rikka gallery、東京）を開催。2019年には「I am yellow」（Maki Fine Arts、東京）、「水戸部七絵｜髙山陽介 顔の奥行き」（関内文庫、神奈川県）を開催。2018年には「DEPTH - Tranquil Pigment-」（florist gallery N、愛知）、2016年には「水戸部七絵 展 MITOBE Nanae Exhibition」（gallery21yo-j、東京）、「DEPTH - Tranquil Pigment-」（florist gallery N、愛知）、「APMoA , ARCH vol.18 DEPTH - Dynamite Pigment -」（愛知県美術館）などを開催しています。
初期には2014年の「ABRAHAM」（LOOP HOLE、東京）、「水戸部七絵 個展」（現代HEIGHTS GALLERY DEN .ST、東京）、2011年の「BLUMEN GARTEN」（LOOP HOLE、東京）などがあります。
水戸部の作品は、油絵具を幾層にも重ねることで、大胆な色彩と立体的な質感を表現している点が特徴です。彼女は絵画原理主義を主張し、初期には象徴的な人物像を描いていましたが、2014年のアメリカ滞在を機に、抽象性の高い匿名の顔を描いた「DEPTH」シリーズを制作しました。このシリーズは2016年に愛知県美術館で発表され、大きな反響を呼びました。
幼少期に上野の美術館でゴッホの「ひまわり」を見て画家を志したという水戸部ですが、顔をモチーフにするようになったきっかけは、2009年にマイケル・ジャクソンのドキュメンタリー映画「THIS IS IT」を見たことでした。この映画に深い感銘を受け、顔の表現に取り組むようになったと言います。
水戸部の作品は、制作に長いものでは10年以上もの年月をかけることもあります。2022年のオペラシティでの個展では、新表現主義の影響が見られる石膏像を画面に取り込んだ作品も発表しました。また、この個展のタイトルである「I am not an Object」には、セクシャルハラスメントやLGBTQへの偏見に抗議する意味が込められており、差別や偏見のない、他者を受け入れる彼女の制作姿勢が強く表れています。同時に、作品の物質性への自己言及も含まれていると考えられます。
近年では、コロナ禍での制作活動において、新たに〈Picture Diary〉というシリーズを手がけるようになりました。これは、絵に英文を添えた絵日記のような作品で、バンクシーやバスキアなどアートに関するニュースの見出しや、アフガン少女のツイートなど、水戸部の目に触れた出来事が描かれています。このシリーズでは、これまで描いてきた「活き活きとした他者」としての顔から離れ、無名の他者を主人公とした作品にも取り組んでいます。水戸部は、顔にまつわる思索を深め、人間の美容への欲求や変身願望、人種や性別による差別、他者がもたらす影響など、考察を広げています。
水戸部の作品は、愛知県美術館に「I am a yellow」（2020年収蔵）が収蔵されています。
2011年：「千代田芸術祭2011 アンデパンダン」 審査員ゲスト O JUN 賞
2013年：「熊谷守一大賞展」 入賞
2020年：「VOCA展2021 現代美術の展望─新しい平面の作家たち─」奨励賞
水戸部七絵は、現代美術の世界において、独自の表現を追求し続ける、今後ますます注目されるべき画家の一人です。
来歴
神奈川県に生まれた水戸部は、2011年に名古屋造形大学を卒業後、画家の長谷川繁に師事しました。2016年には愛知県美術館で個展を開催し、2020年には同館に「I am a yellow」が収蔵されるなど、早くからその才能を高く評価されてきました。2019年にはホルベインスカラシップ奨学生に選出され、2021年からは東京芸術大学大学院美術研究科絵画専攻油画に在籍し、画家の小林正人に師事しています。また、同年には「VOCA展2021」で鎮西芳美の推薦を受け、VOCA奨励賞を受賞しました。2022年からはオーストリアのウィーン美術アカデミーに交換留学し、アラステア・マキンブンに師事。同年には初の作品集『Rock is Dead』を刊行しました。
主な展覧会
水戸部は数多くの個展を開催しており、その活動は国内外に及んでいます。近年では、2023年に「Green and Red」（GUCCI NAMIKI、東京）、「NOT A GALLERY BUT A FORMAL」（NOT A GALLERY、熱海）、「黒い顔・白い顔」（rin art association、群馬）などを開催。2022年には「Let’s Have a Dream ! -作品集出版記念展-」（銀座蔦屋）、「AUN - L字の金髪と発掘された人 -」（Tokyo International Gallery、東京）、「War is not over」（void+、東京）、「傑作な風景」（YOD Gallery、大阪）、「Can we turn capital into garbage?」（ソノアイダ＃新有楽町、東京）、「Y.N.W.P. - How to turn capital into garbage -」（ソノ アイダ #新有楽町、東京）、「project N 85 水戸部七絵」（東京オペラシティ）、「I am not an Object」（gallery 5、東京）と精力的に発表を続けています。
2021年には「I can’t speak English!」（NADiff A/P/A/R/T、東京）、「Rock is Dead」（biscuit gallery、東京）、「HUMANITY」（Rikka gallery、東京）を開催。2019年には「I am yellow」（Maki Fine Arts、東京）、「水戸部七絵｜髙山陽介 顔の奥行き」（関内文庫、神奈川県）を開催。2018年には「DEPTH - Tranquil Pigment-」（florist gallery N、愛知）、2016年には「水戸部七絵 展 MITOBE Nanae Exhibition」（gallery21yo-j、東京）、「DEPTH - Tranquil Pigment-」（florist gallery N、愛知）、「APMoA , ARCH vol.18 DEPTH - Dynamite Pigment -」（愛知県美術館）などを開催しています。
初期には2014年の「ABRAHAM」（LOOP HOLE、東京）、「水戸部七絵 個展」（現代HEIGHTS GALLERY DEN .ST、東京）、2011年の「BLUMEN GARTEN」（LOOP HOLE、東京）などがあります。
作風
水戸部の作品は、油絵具を幾層にも重ねることで、大胆な色彩と立体的な質感を表現している点が特徴です。彼女は絵画原理主義を主張し、初期には象徴的な人物像を描いていましたが、2014年のアメリカ滞在を機に、抽象性の高い匿名の顔を描いた「DEPTH」シリーズを制作しました。このシリーズは2016年に愛知県美術館で発表され、大きな反響を呼びました。
幼少期に上野の美術館でゴッホの「ひまわり」を見て画家を志したという水戸部ですが、顔をモチーフにするようになったきっかけは、2009年にマイケル・ジャクソンのドキュメンタリー映画「THIS IS IT」を見たことでした。この映画に深い感銘を受け、顔の表現に取り組むようになったと言います。
水戸部の作品は、制作に長いものでは10年以上もの年月をかけることもあります。2022年のオペラシティでの個展では、新表現主義の影響が見られる石膏像を画面に取り込んだ作品も発表しました。また、この個展のタイトルである「I am not an Object」には、セクシャルハラスメントやLGBTQへの偏見に抗議する意味が込められており、差別や偏見のない、他者を受け入れる彼女の制作姿勢が強く表れています。同時に、作品の物質性への自己言及も含まれていると考えられます。
近年では、コロナ禍での制作活動において、新たに〈Picture Diary〉というシリーズを手がけるようになりました。これは、絵に英文を添えた絵日記のような作品で、バンクシーやバスキアなどアートに関するニュースの見出しや、アフガン少女のツイートなど、水戸部の目に触れた出来事が描かれています。このシリーズでは、これまで描いてきた「活き活きとした他者」としての顔から離れ、無名の他者を主人公とした作品にも取り組んでいます。水戸部は、顔にまつわる思索を深め、人間の美容への欲求や変身願望、人種や性別による差別、他者がもたらす影響など、考察を広げています。
パブリックコレクション
水戸部の作品は、愛知県美術館に「I am a yellow」（2020年収蔵）が収蔵されています。
受賞歴
2011年：「千代田芸術祭2011 アンデパンダン」 審査員ゲスト O JUN 賞
2013年：「熊谷守一大賞展」 入賞
2020年：「VOCA展2021 現代美術の展望─新しい平面の作家たち─」奨励賞
水戸部七絵は、現代美術の世界において、独自の表現を追求し続ける、今後ますます注目されるべき画家の一人です。
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