水準器

水準器は、物体表面の水平や垂直、傾斜角度を測定する器具です。一般的に水平器やレベルとも呼ばれます。土木、建築、測量などの分野で幅広く用いられ、その種類も気泡管水準器、円形水準器、レーザー水準器、デジタル水準器など多岐にわたります。

歴史

水準器の歴史は古く、古代エジプトではすでに原型となる道具が使われていました。古代ローマの大工が使用していた「リベラ」と呼ばれる水準器は、A字型の木枠に錘を吊り下げ、糸と溝の重なりで水平を測る仕組みでした。このA型水準器は19世紀半ばまで使われていました。

17世紀半ばには、ガラス円筒にアルコールと気泡を封入した気泡管水準器が発明されました。当初は測量用でしたが、19世紀になって大工用としても普及しました。日本においては、鎌倉時代の絵巻物「春日権現験記」に、木製の樋に水を満たして水面を基準に水平を測る様子が描かれています。この木製の樋は「水準」または「水盛台」と呼ばれ、現代の気泡管水準器が普及するまで長く使われていました。

種類

気泡管水準器

気泡管水準器は、金属または樹脂製のケースに、液体と気泡を封入したガラス製の気泡管を固定したものです。気泡管には複数の標線があり、気泡が標線の中央に来るようにすることで、水平または垂直を確認できます。一般的には水平と垂直の2本、または45度を加えた3本の気泡管を持つものが多いですが、土木工事向けには30度、45度、60度の気泡管を備えたものや、屋根工事向けに角度を調整できるスラント機能付きのものもあります。また、緩勾配を測れるように気泡管の曲率を大きくし、多数の標線を付けたものもあります。単体の水準器だけでなく、測量機器や建設機械にも組み込まれています。

円形水準器

円形水準器は、薄い透明な円盤に液体と気泡を封入したものです。アクリル樹脂製が一般的です。前後左右全方向の傾きを読み取れますが、精度は気泡管水準器に劣ります。小型で安価なため、高精度を必要としない器具や装置に組み込まれることが多いです。測量機器の整準や、カメラの三脚、はかりなどに組み込まれています。

レーザー水準器

レーザー水準器は、角筒型の水準器にレーザーポインターを内蔵したものです。レーザー光線を照射することで、離れた場所の水平や高さを確認できます。水準儀や墨出し器に比べて精度は劣ります。

ハンドレベル

ハンドレベルは、簡易的な測量器で、手持ち水準儀とも呼ばれます。低倍率の望遠[[鏡]]または見通し筒に気泡管水準器を取り付けたもので、内部の鏡で気泡の位置と視準対象を同時に見ることができます。水平専用タイプと、傾斜角を測定できる高度分度器付きタイプがあります。地質調査や造園工事など、精度を必要としない場面で用いられます。

水盛管

水盛管は、ゴム管の両端に透明なガラス管を接続したもの、または透明なビニールホースに水を入れたものです。管内の液面が必ず水平になることを利用し、離れた場所の高さを測ります。明治時代中期から使われ始め、現代でも、測点が離れていたり、障害物がある場合などに用いられます。一人で作業できる電子式水面計付き製品もあります。

国内メーカー

シンワ測定
藤田製作所
F.S.K
大菱計器製作所
新潟理研測範
理研計測器製作所

脚注

関連項目

水糸
日本水準原点
* 傾斜計

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