水無神社 (木曽町)

水無神社

水無神社（すいむじんじゃ）は、長野県木曽郡木曽町伊谷に鎮座する神社です。旧社格は県社であり、地域の人々から崇敬を集めています。

祭神

水無神社の祭神は、高照姫命（タカテルヒメ）です。

歴史

水無神社の創建は、飛騨一宮水無神社の分社として、延文2年（1357年）に原野弾正（藤原有重）によって開基されたと伝えられています。その後、至徳2年（1385年）、慶長17年（1612年）、明暦4年（1658年）、寛政4年（1792年）と、度々社殿の再建や修繕が行われてきました。現在の社殿は明治4年（1871年）に再建されたものですが、室町時代の社殿の一部である蟇股が残されており、歴史を感じさせます。

境内には、樹齢500年から800年にもなるスギ、サワラ、ヒノキ、コウヤマキなどの老木が鬱蒼と茂り、神社の長い歴史を物語っています。

文化財

水無神社には、数多くの文化財が所蔵されています。その中でも特に有名なのは、鎌倉時代の作とされ、長野県宝に指定されている「国恒」銘の太刀です。また、室町時代にかけて作られた「御正体（懸け仏）」三十六面も貴重な文化財として知られています。

祭事

水無神社では、年間を通して様々な祭事が行われます。主な祭事は以下の通りです。

祈年祭（4月27日）：五穀豊穣を祈る祭り。
渡御祭（7月22日・23日）：神輿が町内を巡行する祭り。
新穀感謝祭（11月23日）：新穀の収穫を感謝する祭り。

みこしまくり

特に有名なのが、渡御祭に合わせて行われる「みこしまくり」です。この祭りは、奇祭として広く知られています。毎年新調される神輿に神体を移し、宗助、幸助と呼ばれる祭祀者が、福島町の西半分と東半分を巡行します。そして、夜になると「宗助、幸助」の掛け声とともに、神輿を路上に放り落とし、何度も転がします。神輿が神社に戻るのは、翌朝となります。

「みこしまくり」の由来には諸説あります。一つは、木曽から飛騨へ出稼ぎに出ていた宗助と幸助という二人の若者が、水無神社の分霊を神輿に載せて木曽に帰る途中、重さに耐えきれず困惑していたところ、祭神のお告げを得て、神輿を転がして運んだという伝承に基づくという説です。もう一つは、江戸時代初期に水無神社が「水無天王」と称されていた記録があることから、天王信仰の暴れ神輿に由来するという説です。

外部リンク

水無神社 - 長野県神社庁
「木曽のあばれみこし」（昭和40年7月公開） - 中日ニュース602号（動画）・中日映画社

参考文献

信濃毎日新聞社開発局出版部 編『長野県百科事典』信濃毎日新聞社、1974年。
長野県神社庁『信州の神事』銀河書房、1990年3月。
谷川健一 編『日本の神々 神社と聖地』 第9巻 美濃・飛騨・信濃（新装復刊）、白水社、2000年7月。
『木曽福島町史 第1巻 (歴史編)』木曽福島町教育委員会、1982年。
『寺と神社 (信州の文化シリーズ)』信州郷土史研究会、信濃毎日新聞社、1981年。

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