水田除草機

水田除草機：環境に優しい稲作を支える技術

水田除草機は、除草剤を使用せずに水田の雑草を除去するための農機具です。動力や人力を用いて、稲の条間や株間の雑草を物理的に取り除くことで、環境負荷の低減に貢献します。農薬に頼らない防除方法としては、布マルチや再生紙マルチを用いた直播栽培、合鴨農法やジャンボタニシ、鯉を利用する生物的防除などがあります。

水田除草機の概要

水田雑草は、田植え後7〜10日程度で発生するため、初期、中期、後期と、7〜10日ごとに3〜5回の除草が必要です。複数回の中耕除草は、増収効果も期待できます。大規模栽培では、効率的な乗用型が適していますが、コスト削減が可能な湛水直播栽培では、株間の除草に対応するために、播種方法を条播ではなく点播にする必要があります。

農薬に頼らない雑草防除では、深水管理（20cm以上）、2回代かき、冬期湛水、秋期・冬期の耕起、田畑輪換栽培などの耕種的防除法を、雑草の種類に合わせて組み合わせることが重要です。

水田除草機の種類

水田除草機には、主に以下の種類があります。

乗用型:
田植機の種類に応じて、4条、6条、8条用があり、条間（田植機走行方向の隙間）の区分では、マット苗用（30cm）とポット苗用（33cm）があります。乗用型は作業速度が速く、除草効果も高く、旋回時の欠株率も低く抑えられます。作業能率も歩行型の4倍で、作業負担を軽減できます。近年では、直進キープ機能や自動運転機能を搭載した機種も開発されています。
歩行型:
動力式（2・3・4条・チェーン）と、除草下駄があります。
手押し型:
1条、2条、3条（アルミ製）があり、草刈機用アタッチメントとして除草するものもあります。株間の除草には対応していないタイプもありますが、水田の条間・株間除草に対応したタイプも存在します。
その他:
ラジコン除草ボートやアイガモロボットなど、ユニークな除草機も開発されています。

水田除草機の歴史

水田除草機の開発は、近年活発になっています。

2008年（平成20年）：アイガモロボットの研究が開始。
2012年（平成24年）：乗用管理機等に搭載する水田用除草装置が開発。
2017年（平成29年）：除草機構「回転式レーキ」と「除草刃ローター」付きの水田除草機（WEED MAN）が開発。
除草ボートの開発特許が公開。
2019年（令和元年）：水田除草機WEEDMANが、第31回「中小企業優秀新技術・新製品賞」において優秀賞を受賞。
2021年（令和3年）：田んぼ「抑草」ロボットが公開。
2022年（令和4年）：山陽熱工業が乗用型田植機に装着する除草機アタッチメント「楽とーる」を開発、発売開始。
2023年（令和5年）：田植え機装着型除草装置 楽田楽(らくでんがく)を発表

今後の展望

環境保全への意識が高まる中、水田除草機は、持続可能な農業を支える重要な役割を担っています。自動運転技術やAIを活用した、より高精度で効率的な除草機の開発が期待されます。また、多様な栽培方法に対応できる、汎用性の高い除草機の開発も重要となるでしょう。

関連項目

農業機械
無農薬栽培
棚田

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