水素化ベリリウム

水素化ベリリウム：性質、合成、構造

[水]]素化ベリリウム]は、[[ベリリウムの水素化物である無機化合物です。常温常圧下では白色の固体として存在し、250℃を超えると分解するという特徴があります。

ベリリウムの特異性

マグネシウムやカルシウムといった他のアルカリ土類金属の水素化物はイオン結合性ですが、水素化ベリリウムは共有結合性を示します。これはベリリウム原子が、原子半径が小さく、原子核の正電荷が電子を強く引き付けるため、電子を放出しにくい性質を持つことに起因します。このため、水素化ベリリウムは他のアルカリ土類金属の水素化物とは異なる性質を示すのです。

合成法

水素化ベリリウムの合成にはいくつかの方法が知られています。1951年には、ジメチルベリリウムBe(CH₃)₂と水素化アルミニウムリチウムLiAlH₄の反応によって初めて合成されました。より純粋な水素化ベリリウムを得るためには、ジ-tert-ブチルベリリウムBe(C(CH₃)₃)₂を210℃で熱分解する方法が用いられます。

最も純粋な水素化ベリリウムは、トリフェニルホスフィンPPh₃と水素化ホウ素ベリリウムBe(BH₄)₂の反応によって得られます。この反応は、以下の化学式で表されます。


Be(BH₄)₂ + 2PPh₃ → 2Ph₃PBH₃ + BeH₂


興味深いのは、他のアルカリ土類金属の水素化物と異なり、金属ベリリウムと水素の直接反応によって水素化ベリリウムを得る方法が確立されていない点です。

構造

通常、水素化ベリリウムはアモルファス性の白色固体として得られます。しかし、0.5～2.5%のLiHを触媒として加え、圧力をかけて加熱することで、より高密度（約0.78 g/cm³）の六方晶系の結晶を得ることが報告されています。

最近の研究では、結晶性水素化ベリリウムは、以前考えられていた架橋水素原子による平面状の無限鎖構造とは異なり、BeH₄四面体の頂点共有ネットワークを含む体心斜方格子構造を持つことが明らかになりました。アモルファス状態の水素化ベリリウムについても、頂点共有四面体のネットワーク構造を持つことが確認されています。さらに、気相におけるBeH₂分子の構造は直線状であり、Be-H結合距離は133.376 pmであることが確認されました。

用途

水素化ベリリウムは、その高いエネルギー密度からロケット燃料としての可能性が検討されています。しかし、毒性や取り扱い難しさなどの課題があり、広範な実用化には至っていません。

まとめ

水素化ベリリウムは、その特異な共有結合性や多様な構造、そして潜在的な用途など、多くの興味深い性質を持つ化合物です。今後の研究により、その特性がさらに解明され、新たな応用が開発される可能性があります。

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