水車町

水車町（すいしゃちょう/Suishacho）は、北海道札幌市豊平区に位置する地名です。1丁目から8丁目までが存在し、郵便番号は062-0912。かつて「水車通り」と呼ばれていたこの地域は、その名の通り、水車と深い関わりを持つ歴史を刻んできました。

地理的特徴

南北約800m、東西約200mの長方形に近い町域は、主に住宅地として利用されています。隣接する旭町と共に旭水地区を形成し、静かで落ち着いた住環境を提供しています。札幌市の正式な読み方は「すいしゃちょう」ですが、地元住民の間では「すいしゃまち」という愛称で親しまれています。全国的に見ても珍しい地名であり、類似の例としては京都市左京区の「上高野水車町」が挙げられます。ただし、「水車」を地名に含む例は、北海道留萌市の「水車の沢」や兵庫県神戸市の「水車新田」など、全国各地に点在しています。

歴史

開拓時代、この地域には官営の製材所が置かれていました。明治20年代に入ると、豊平川から分岐する「水車川」を利用した水車小屋が建設され、精米や製粉の動力源として活用されました。同時期には、近隣の平岸、中の島、旭町と共にリンゴ栽培が盛んに行われ、多くの果樹園が作られました。水車川は、現在の水車町5丁目の難得神社（難得大龍王）の下手付近で豊平川から分かれ、水車町公園の横を通り、南7条橋と豊平橋の中間付近で再び豊平川に合流していました。

最盛期であった大正初期には、7、8軒もの水車小屋が稼働し、当時札幌市内に供給される米や粉の加工を担っていました。しかし、大正中期に電気の普及が進むと水車の需要は激減し、1924年（大正13年）までに水車小屋はその姿を消しました。1962年（昭和37年）に南大橋が架設され、札幌市街とのアクセスが向上すると、住宅地化が急速に進み、果樹園の数も減少していきました。水車川も家庭排水による汚染が進み、1973年（昭和48年）に埋め立てられましたが、かつての河道は遊歩道やサイクリングロードとして整備され、その面影を残しています。

行政区分

大正時代までは豊平○番地という名称でしたが、昭和に入ると豊平8条～10条の各一部、豊平川岸1～9丁目となりました。また、地域住民からは「水車通り」という通称で呼ばれることもありました。1950年（昭和25年）に水車町1～13丁目となり、1979年（昭和54年）1月29日の町名整理により9～13丁目が廃止され、改めて1～8丁目に再編され、現在に至ります。

主要道路と施設

水車町は、以下の主要道路に囲まれ、またはこれらの道路が地区内を通っています。

米里行啓通：平岸との境界をなしています。
中の島通：豊平、旭町、平岸との境界です。
南7条米里通：豊平との境界です。
菊水旭山公園通：地区内を東西に横断します。
豊平川通（豊平川右岸線）：豊平川を挟んで中央区と接しています。

地区内には、以下の施設があります。

札幌市立旭小学校（水車町3丁目）
札幌市旭小ミニ児童会館（水車町3丁目、旭小学校内）
水車町公園（水車町1丁目）
旭水会館（水車町6丁目）
豊平川神社（水車町6丁目、旭水会館内）
難得神社（水車町5丁目）
イワクラホーム

水車町は、その名の由来となった水車小屋の歴史を大切にしながら、住宅地として発展を遂げてきました。遊歩道や公園として整備された水車川の跡は、地域住民の憩いの場として親しまれています。

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