水酸化ナトリウム

水酸化ナトリウム（苛性ソーダ）

水酸化ナトリウム（すいさんかナトリウム、英：sodium hydroxide）は化学式NaOHで示される無機化合物です。この物質はナトリウムの水酸化物であり、常温常圧下ではナトリウムイオンと水酸化物イオンからなるイオン結晶の形態をとっています。一般には苛性ソーダと呼ばれることが多く、強塩基として広範囲で使用されています。

物理的特性

水酸化ナトリウムは無色無臭の固体で、通常クリスタル状またはフレーク状で取り扱われます。融点は591K（317.85℃）、沸点は1661K（1387.85℃）です。密度は約2.13g/cm³であり、非常に潮解性が高い特性を持っています。つまり、空気中で湿気を吸収しやすく、水溶液を形成します。水には非常に良く溶け、20℃での溶解度は1110g/Lにのぼります。この溶解過程では強い発熱が伴い、水中で完全に電離して水酸化物イオンを放出するため、強アルカリ性が示されます。

水酸化ナトリウムは、二酸化炭素を強力に吸収する能力も持ち、この特性を利用して実験室などで二酸化炭素の吸収剤として用いられます。正確には、水溶液において二酸化炭素と反応し、炭酸ナトリウムを生じます。これが、分析化学の中和滴定などにも利用される理由です。

製造法

水酸化ナトリウムの一般的な製造方法としては、塩化ナトリウム水溶液の電気分解が挙げられます。この過程では、水酸化ナトリウムと同時に塩素ガスと水素ガスが生成されます。また、消石灰と炭酸ナトリウムの複分解反応を利用する方法もあります。

用途

水酸化ナトリウムは、工業界で基礎薬品の一つとして広く利用されています。具体的には、上[[水道]]や工業廃水の中和剤、アルミニウムの原料であるアルミナの抽出、さらには固形石鹸の製造にも必須の素材です。また、家庭用の洗浄剤としても使われており、排水管クリーナーなどがその例です。

特に脱脂効果が強く、めっき工場などでは油分を除去するためにも使用されます。また、製紙工業においてはパルプを作る際にリグニンを溶解するため必要な薬品でもあります。

危険性

水酸化ナトリウムには相当な危険が伴います。腐食性を示し、濃度が2%を超えると皮膚に対して危険となり、接触した際には化学熱傷を引き起こす恐れがあります。目に入った場合は重度の損傷を及ぼす可能性もあり、緊急に洗浄が必要です。誤飲すると、食道や上部消化管に深刻な損傷を与え、最悪の場合は死亡に至ることもあります。可能な限り安全に取り扱い、適切な保護具を着用することが求められます。

水酸化ナトリウムは、規制にも厳格に取り扱われており、特に国際的な運送の際は腐食性物質として分類されています。日本では毒物及び劇物取締法によって劇物に指定されており、その取り扱いには注意が必要です。

まとめ

水酸化ナトリウムは、利用が広範囲にわたる一方で、多くの危険性を内包する物質です。正しい知識と取り扱いを理解し、安全に使用することが不可欠です。

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