水野忠順

水野忠順：上総鶴牧藩最後の藩主の生涯

水野忠順は、江戸時代後期から明治時代にかけて活躍した、上総鶴牧藩の第3代にして最後の藩主です。文政7年（1824年）、第2代藩主・水野忠実の次男として誕生しました。家系は水野忠位系の6代目に当たります。

幼少期から優れた能力を示した忠順は、天保11年（1840年）にわずか17歳で従五位下・山城守に叙位・任官。その後、天保13年（1842年）に父・忠実の死去に伴い家督を継ぎ、壱岐守に遷任しました。

家督相続後、忠順は藩政改革に積極的に取り組みます。嘉永元年（1848年）には奏者番に任じられ、幕府政治にも関与。その後も周防守、肥前守へと順調に昇進していきました。藩政においては、経済的に困窮する藩民への米の支給や、学問の振興に力を注ぎました。特に、藩校である修来館の創設は、彼の教育への熱意を示す重要な業績と言えるでしょう。

戊辰戦争（慶応4年1868年）では、新政府への恭順を選択しました。しかし、同年4月に発生した五井戦争という藩内紛争は、忠順にとって大きな試練となりました。この事件の責任を問われ、明治元年（1868年）10月、領地の多くを上知されました。代わりに、上総国市原・望陀両郡を新たな所領として与えられています。

明治2年（1869年）の版籍奉還により、鶴牧藩知事に任じられた忠順は、官制・軍制改革を中心とした藩政改革を推進しました。しかし、明治4年（1871年）の廃藩置県により、藩知事を免官。その後、子爵に叙せられました。数々の改革に尽力した忠順でしたが、廃藩置県という時代の流れには抗えず、その生涯を閉じました。明治17年（1884年）、61歳でこの世を去りました。

忠順の生涯は、激動の時代を生き抜いた藩主の苦悩と努力、そして時代の転換点における決断を物語っています。藩政改革への取り組みや戊辰戦争での対応、そして廃藩置県後の彼の行動は、後世に多くの示唆を与えてくれるでしょう。

家族

父: 水野忠実
正室: 前田建子（前田利之の三女）
* 養子: 水野忠義、水野忠宝（細川利永の子）

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