水野洽

水野洽（みずの ひろし、1911年9月1日 - 1997年11月4日）は、日本の映画監督として知られる人物で、別名片岡均（かたおか きん）でも名を馳せました。北海道の芦別市で生まれた彼は、教育を受けた後、映画の道を志し、日本大学で映画を学びました。1935年には日活多摩川撮影所に助監督として入社し、内田吐夢や島耕二らのもとで映画作りの基礎を学びました。1942年には大映東京撮影所に転籍し、1946年に監督に昇進、彼のデビュー作『お嬢様お手を』は1949年に公開されたことで、正式に監督としての地位を確立しました。

水野はその後、さまざまな映画を手がけましたが、自身の持ち味を活かした作品は、特に1946年から1962年の大映時代に多く見られました。この時期には、ヒューマンドラマやエンターテインメント性の強い作品を制作してきました。また、どの作品も彼の独特な演出スタイルが反映されていたと言われます。1962年には大映を退社し、ドキュメンタリー映画や教育映画、成人映画にも挑戦するようになりました。

成人映画分野では主に片岡均の名義で作品を発表し、性をテーマにした作品で知られるようになりました。この頃、「女体の死角」や「激情の乳房」といった刺激的なタイトルで注目を集め、一定の評価を得ました。ただし、1970年には成人映画プロダクションを解散し、劇映画からは一度退くことになります。

晩年の水野は、映画監督だけでなく教育者としての顔も持ち合わせていました。彼は俳優養成所を立ち上げ、演技研究所で新人俳優に演技を指導し、多くの人材を育成しました。さらに、1974年には東京都世田谷区に小劇場「宇宙舘」を開設し、若手劇団に創造の場を提供したのです。この小劇場は、現在でも東京で最も古い小劇場として利用されており、演劇や舞踏、上映会などに活用されています。

水野洽は1997年11月4日に86歳で他界しましたが、彼の作品や活動は今も多くの映画関係者や愛好家に影響を与え続けています。彼が残した映像作品や教育者としての軌跡は、日本の映画界における重要な一部となっているのです。

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