氷の微笑

映画『氷の微笑』について

『氷の微笑』（こおりのびしょう、Basic Instinct）は、1992年に公開されたアメリカのミステリー映画で、全世界で3億5千万ドル以上の興行収入を記録した作品です。監督はポール・バーホーベンで、主演はマイケル・ダグラスとシャロン・ストーンが務めました。この映画は、サンフランシスコを舞台にし、ある殺人事件を中心に展開します。

物語は、有名なロックスターでナイトクラブのオーナーであるジョニー・ボズが、自宅の寝室で惨殺された状態で発見されることから始まります。彼の遺体は全裸で、両手が縛られ、31箇所もアイスピックで刺されていたという衝撃的なものでした。市警察の刑事ニック・カラン（マイケル・ダグラス）は、ボズの恋人であるキャサリン・トラメル（シャロン・ストーン）を容疑者として捜査に乗り出します。キャサリンは資産家であり美しいミステリ作家で、彼女の小説には事件の様子に酷似した描写が含まれていることから、彼女が罪を犯した可能性が高まります。

捜査が進む中、ニックはキャサリンのミステリアスな魅力に惹かれていきますが、彼女は捜査への関与を強く否定します。一方、ニックは彼女が何かを隠していると感じ、単独捜査を続けます。彼の横には相棒のガスがいますが、捜査の途中で想定外の悲劇が起こります。ガスは事件の真相に迫ろうとして、何者かによって命を奪われてしまうのです。

物語はさらに複雑さを増し、ニックは過去の事件を調べるうちに、キャサリンの周囲で多数の不審死が起こっていた事実を知ります。また、ニールセンという内務課の捜査官も射殺される事件が発生し、ニック自身も容疑者の一人となります。彼はキャサリンとの関係を深めながら、彼女の過去や周囲の人々との関係を探り続けますが、次第に彼自身も事件のモデルになるのではないかという恐れを抱えることになります。

2006年には続編『氷の微笑2』が公開され、さらなる物語が展開されました。また、2021年には4Kデジタルレストアされたバージョンが登場し、2023年には劇場で「4K 30周年記念レストア版」として上映されました。

本作は、シャロン・ストーンの出世作となり、彼女による取り調べ室での足を組み替えるシーンは特に印象深く、多くのパロディ作品にも取り上げられるほど評判を呼びました。また、映画はカンヌ国際映画祭のオープニングを飾ったことでも知られています。演技、映像、音楽など多くの要素が高く評価される一方で、プロットに対しては賛否が分かれる点もあります。批評家からは「過度にセンセーショナルな作品」との声もあり、Rotten Tomatoesでは高評価が53%とされていますが、興行成績や文化的影響は計り知れません。

『氷の微笑』は、単なるミステリー映画に留まらず、観客に深い印象を残す作品であり、その魅力は今でも色あせることなく、多くの映画ファンに愛されています。

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