氷の接吻

氷の接吻（Eye of the Beholder）

本作は1999年にアメリカ合衆国で製作されたサスペンス映画です。マーク・ベームによる同名の小説を原作としており、日本ではハヤカワ文庫NVからその翻訳版が刊行されています。物語はヘンリー・ミラーの「人は皆、自分の運命からは逃れられない」という言葉から幕を開けます。

ストーリー

英国諜報員であるアイは、妻子との離別による精神的な傷を負っており、しばしば亡き娘の幻影に悩まされていました。この精神的な不安定さが、彼の任務遂行にも影を落としています。彼はある任務中に、監視対象の人物が謎めいた女性によって殺害される場面に遭遇します。本来であれば上層部に報告すべき状況であったが、娘の幻覚が自身の運命を暗示するかのように語りかけ、アイは組織を離れて単独でその女性の行方を追うことを決意します。

彼女はジョアナ・エリスという本名を持つ連続殺人犯でした。追跡から逃れるため、ジョアナは様々なカツラや偽名を使い分け、関わりを持った男性たちを次々と手にかけます。そして、彼女が殺害時に激しく慟哭しながら絞り出すように口にする「メリークリスマス・パパ」という言葉は、その行動の背後にある深い心の傷を暗示していました。

アイはジョアナを執拗に追い詰めますが、ジョアナもまた自身が追われていることに気づき始め、警戒心を強めます。そんな中、彼女は空港で出会った裕福な盲目の老人、アレックスに接近し、その庇護のもとに行動を共にします。アレックスの中に父性を見出したジョアナは、次第に心を開き、彼に自分がクリスマスに父親に捨てられた過去を打ち明けます。

「娘を失った父親」であるアイは、「父に捨てられた娘」であるジョアナに、自らの喪失感を投影するかのように次第に強く惹きつけられていきます。しかし、ジョアナがアレックスと婚約したことを知ったアイは、焦燥感から常軌を逸した行動を取り始め、物語は予測不能な展開へと向かいます。アイはジョアナの過去を知るため、彼女の保護観察を担当していた刑務官のブロート博士と面会し、彼女の本名と悲惨な生い立ちについて聞き出すことに成功します。

登場人物

アイ（EYE）
演：ユアン・マクレガー
英国諜報局の諜報員。本名スティーブン・ウィルソン。妻子に去られた過去を持ち、精神的に不安定な状態にある。
ジョアナ・エリス
演：アシュレイ・ジャッド
謎の連続殺人犯。過去の出来事から深い心の傷を抱えている。
アレックス
演：パトリック・バーギン
資産を持つ盲目の老人。ジョアナが父性を投影し、接近する対象となる。
ゲイリー
演：ジェイソン・プリーストリー
アレックスの死後、傷心のジョアナに近づく暴力的な男。
ルーシー
アイの娘。アイの精神状態が生み出した幻影。
ヒラリー
演：k.d.ラング
英国諜報局本部の職員。アイを気遣う。
ブロート博士
演：ジュヌヴィエーヴ・ビジョルド
刑務官。ジョアナの過去を知る人物。

キャスト

ユアン・マクレガー：アイ（EYE）
アシュレイ・ジャッド：ジョアナ・エリス
パトリック・バーギン：アレックス
ジェイソン・プリーストリー：ゲイリー
k.d.ラング：ヒラリー
ジュヌヴィエーヴ・ビジョルド：ブロート博士

日本語吹替

テレビ朝日版（2004年4月25日『日曜洋画劇場』放送）
その他（ソフト版）：渡辺菜生子、松本大、花輪英司、篠原まさのり、桜澤凛、柳沢真由美、加藤沙織、山岸功、篠原大作、村井かずさ、長谷川洋子、秋元千賀子

外部リンク

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