氷山キヨテル

氷山キヨテルは、2009年12月4日にAH-Softwareから発売された音声合成ソフトウェアであり、そのキャラクターは架空の教師という設定です。ヤマハのVOCALOID2エンジンを搭載しており、パソコンでメロディと歌詞を入力することで、男性の歌声を合成することが可能です。彼は、同社初のVOCALOID製品として、歌愛ユキやSF-A2 開発コード mikiと共にリリースされました。

製品としての氷山キヨテルは、「ボカロ先生」というキャッチフレーズで売り出されました。これは、音声提供者であり、VOCALOIDの開発に初期から関わった歌手の比山貴咏史への敬意を示すと共に、同時発売の歌愛ユキが「ボカロ小学生」と銘打たれたことに対応する意味合いがあります。製品には、それまでの録音データに加えて、新たに録音された音声も使用されており、成人男性特有の美しい高音域と渋い低音域を活かした、癒し系の歌声を作成することができます。得意なテンポは60～160BPM、得意な音域はC2～G3とされています。

発売当初、音声提供者が比山貴咏史であることは伏せられていましたが、2010年8月12日にニコニコ生放送の公式番組で比山氏自身が公表しました。さらに、2015年10月29日にはVOCALOID4に対応した2種類の新音源「氷山キヨテル ナチュラル」と「氷山キヨテル ロック」が発売され、2024年にはSynthesizer V版の発売も予定されています。

キャラクターとしての氷山キヨテルは、スーツ姿に眼鏡をかけた男性として描かれており、歌愛ユキの担任教師という設定です。また、VOICEROIDの水奈瀬コウとは同僚という設定になっています。彼のネクタイピンはヤマハのサイレントベース「SLB100」をモチーフにしており、眼鏡はZoffの「ZS92001A」を愛用しています。得意科目は算数で、休日には5人組の社会人ロックバンド「アイスマウンテン」のボーカル「アイスマウンテン・テル」として活動しているというユニークな設定も特徴です。

氷山キヨテルは、音楽CDだけでなく、小説などのメディアミックス展開もされています。クリプトン・フューチャー・メディアのレーベル「KarenT」を通じて、彼の名前が明記された楽曲がiTunes Storeなどで配信されています。また、小説作品では、「悪ノ娘」ノベルシリーズに登場する「キール=フリージス」のモデルになったり、「＃アイスマ　〜ここに君がいないなら〜」では、彼が所属するバンド「アイスマウンテン」が題材になったりしています。さらに、halyosyの楽曲「桜ノ雨」の小説版には、彼をモデルにしたキャラクター「輝」が登場しています。

氷山キヨテルは、その歌声の魅力だけでなく、キャラクターとしての多面性も多くのファンに支持されており、多様な形で展開され続けています。

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