永代信用組合

永代信用組合とは

永代信用組合（えいたいしんようくみあい）は、かつて存在した信用組合です。通称は「えいたい」で、東京都江東区に本店を構え、都内信用組合の中でも第二位の規模を誇っていました。創業者一族によるオーナー企業であり、地域経済において重要な役割を担っていました。

破綻前の概要

経営破綻直前の2001年3月期には、預金量2,794億円、貸出金2,464億円を抱えていました。店舗数は26店舗、役職員数は349名（役員13名、職員336名）、組合員数は36,694人でした。本店所在地は現在「プラウド門前仲町」となっている場所でした。

歴史

1926年（大正15年）7月、関東大震災後の復興と昭和初期の金融恐慌による下町庶民の救済を目的として設立されました。1954年（昭和29年）には、全国信用協同組合連合会設立時に、当時の組合長であった山屋八万雄氏が初代理事長に就任するなど、業界内でも名門として知られていました。

山屋氏は全国中小企業団体中央会の副会長も務め、また、俳人の黒田忠次郎氏が常務理事を務めていた時期もありました。1982年（昭和57年）には、山屋氏の出身地である群馬県千代田町に、町立山屋記念図書館を寄贈しました。1989年（平成元年）には、市民バンク設立に関わるなど、他の金融機関にはない起業支援型の融資制度を導入するなど、先進的な経営姿勢を持っていました。

破綻

2002年1月に経営破綻し、東京東信用金庫と昭和信用金庫に事業譲渡されました。

破綻の理由

破綻の主な原因は、バブル期に本体および関連会社の中央抵当信用を通じて行った、ゴルフ場開発や都心ビルなどへの過剰な融資でした。具体的には、茂原観光開発の千葉・埴生CCゴルフ場（現ゴールデンクロスカントリークラブ）への100億円を超える融資、五州地所株式会社への融資、横井英樹に対する35億円の融資などが焦げ付きました。

中央抵当信用は1983年に設立され、経営陣の親族が役員を務めていました。バブル崩壊前後の1990年代前半から、不良債権処理による特別損失で経営危機に陥りました。1998年（平成10年）には、永代信用組合が同社の抱える10社分の延滞債権計約78億円を買い取りましたが、融資先の一部が倒産するなどして、債権回収が困難になりました。

2001年（平成13年）に関東財務局が行った金融検査では、99億円の債務超過が判明しました。度々、自己資本充実策について報告を求められましたが、具体的な回答が提出されなかったため、2002年（平成14年）1月12日、金融庁は預金保険法に基づき、永代信用組合を強制的に経営破綻させました。これは、国が債務超過を理由に金融機関を破綻させた3例目でした。

2003年（平成15年）2月13日には、警視庁捜査二課が関連会社から回収の見込みがない債権を引き取ったとして、背任容疑で元組合長ら4人を逮捕しました。

沿革

1927年7月13日：有限責任深川区建築復興信用組合として設立。
1950年12月：永代信用組合に改名。
1998年12月：東興信用組合の事業を譲受。
2002年1月12日：金融庁による職権破綻。
2002年1月12日：金融整理管財人として山中廣志氏、中島真介氏が選任。
2002年9月17日：解散（裁判所の許可による）。

まとめ

永代信用組合は、地域経済の発展に貢献した信用組合でしたが、バブル経済の崩壊による不良債権の増加と、ずさんな経営体制が原因で破綻しました。この事件は、金融機関におけるリスク管理の重要性を改めて示す事例となりました。

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