永作芳也

元プロ棋士・永作芳也氏の棋士人生と第二の人生

永作芳也氏は、1955年9月27日生まれの元プロ将棋棋士です。茨城県行方市出身で、加藤恵三八段門下、棋士番号は139番でした。

将棋を始めたのは小学校2、3年生の頃でしたが、プロ棋士を目指したのは高校2年生になってからと、比較的遅いスタートでした。18歳で奨励会に入会した際には6級と、決して恵まれた条件ではありませんでした。しかし、並々ならぬ努力により、1年余りで5級に昇級、その後2年で初段に昇段を果たします。初段から二段への昇段も非常に早く、1977年11月には三段に昇段。三段時代には2年間、研鑽を積み重ね、1979年10月3日には、13勝3敗の好成績で四段に昇段し、プロ棋士としての道を歩み始めます。

奨励会時代には、常に棋譜並べに励んでいたことから、先輩棋士からは「盤を耕す田吾作」と揶揄されるほどでした。このエピソードからも、彼の努力家な性格がうかがえます。

四段昇段後は、若獅子戦で準決勝に進出するなど活躍を見せますが、順位戦C級2組では、なかなか昇級を果たすことができませんでした。1982年の順位戦では、開幕から2連敗を喫しながらも8連勝を飾るなど、高い潜在能力を示しましたが、惜しくも昇級を逃しています。

1982年には、オールスター勝ち抜き戦で谷川浩司氏と対戦し、追い詰める場面もありましたが、惜しくも敗北を喫しました。同年には師匠である加藤恵三八段が亡くなるという、大きな出来事にも遭遇しています。

1986年5月9日には、棋聖戦1次予選で勝利し、勝数規定により五段に昇段。1987年にはNHK杯テレビ将棋トーナメント本戦に出場し、1回戦で羽生善治氏と対戦。惜しくも敗れましたが、熱戦を繰り広げました。

永作氏は、1988年3月31日付で日本将棋連盟を退会し、プロ棋士としての道を閉じました。最後の対局は、小阪昇氏との順位戦C級2組の最終局で、勝利を収めて3勝7敗で終えましたが、順位差により降級は免れ、降級点なしでの引退となりました。

当時、名人になることを目標にプロ棋士になったものの、自身の力量では名人になれないと悟り、引退を決意したと伝えられていましたが、2017年の取材では、将棋界以外にも興味があったことが明かされています。引退後は将棋界との連絡を絶っており、奨励会時代の同期で親交のあった小野修一氏の訃報を、2017年の取材で初めて知ったほどでした。

現在は茨城県潮来市に居住し、保険代理業を営んでいます。しかし、永作氏の将棋人生はそこで終わらなかったのです。2017年7月には、藤井聡太氏の活躍に触発され、地元である行方市内の公共施設で子供向けの将棋教室を開講しました。2018年11月時点では、行方市以外にも神栖市など、茨城県内の4ヶ所で将棋教室を開講するなど、第二の人生で子供たちに将棋の楽しさを伝える活動に励んでいます。

2018年11月には、永作氏の居住地に近い鹿島神宮で行われた第31期竜王戦第3局の関係者控室を訪れ、羽生善治氏や中村修氏らと久しぶりに再会する場面もありました。

永作芳也氏の棋士人生は、決して華々しいものではありませんでしたが、努力と情熱で道程を切り開き、そして引退後も新たな人生を切り開いていく姿は、多くの人々に感動と勇気を与えてくれるのではないでしょうか。彼の歩みは、努力の大切さ、そして夢を諦めないことの大切さを教えてくれます。

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