永山光幹

永山光幹（ながやま こうかん）

永山光幹は、日本の刀剣研磨の巨星であり、重要無形文化財保持者としての称号を持つ。彼の本名は「茂」で、1920年3月21日に神奈川県中郡相川村（現在の厚木市）に生まれた。光幹は、刀剣研磨技術を学ぶために本阿彌光遜のもとに入門し、その後の人生を刀剣研磨に捧げていく。

経歴のスタート

光幹は、1934年に本阿彌光遜のもとで刀剣研磨と鑑定技術を学び始め、その後の戦争によって1941年に召集され、歩兵第49連隊に入営した。中国戦線に派遣されるも、そこでも軍刀の研磨を行い、戦後の1946年には再び本阿彌宅での修行を開始する。

技術の習得と普及

1955年に、彼は本阿彌家から免許皆伝を受け、日本美術刀剣保存協会の研磨技術発表会で無鑑査の審査員となる。翌年、平塚市にて刀剣研磨の業を開き、1961年には同協会の貴重刀剣審査員や講習会講師として活動を始めた。特に1968年には、自らの研磨研修所を設立し、短期間で効率的に刀剣研磨師を育てることに努め、多くの才能ある研師を世に送り出した。

文化財の保護と調査

1971年からは大磯町文化財保護委員を務め、翌年には新作名刀展の審査員として活躍した。また、1978年にはユネスコの依頼を受け、イタリアのベニスで刀剣類の調査を行った。帰国後には同地に所蔵される日本刀１０振りを研磨し、その技術の高さを示した。

受賞歴と人間国宝

光幹は、1985年には神奈川県の銃砲刀剣類登録審査員となり、1997年には特別重要刀剣審査員としても評価された。1998年には、日本の伝統工芸における特に優れた技術保持者として人間国宝に認定され、2000年には勲四等旭日小綬章を受章した。

教育と活動

彼の活動は、研磨技術の保存だけでなく、後進への技術伝承に大きく貢献した。日本美術刀剣保存協会の理事や各支部の相談役を務め、刀剣研磨技術の交流と普及を図った。さらに、幹枝会や大磯刀剣会など、多くの団体に関わりつつ、刀剣についての幅広い指導を行った。

代表作と著作

光幹による名作としては、春日大社所蔵の刀剣類や、重要文化財に指定されている太鼓鐘貞宗や山伏国広があげられる。彼の技術は多くの刀剣修復に寄与し、日本の文化遺産の保存に貢献した。著作には「日本刀を研ぐ」や「日本刀鑑定読本」があり、彼の知識を広める教材として広く読まれている。

まとめ

2010年3月22日に永山光幹はこの世を去ったが、彼の刀剣研磨における功績は今なお高く評価されている。彼の遺した技術と精神は、今後も日本の刀剣文化の中で息づいていくことであろう。

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