永山智行

永山智行

宮崎県都城市を本拠地とする劇団こふく劇場の代表であり、演出家、そして劇作家として精力的に活動する永山智行は、1967年に宮崎県で生まれました。その演劇への道は、東京学芸大学在学中に受講した「演劇鑑賞」の授業がきっかけとなり、受講生による自主上演会に参加したことから本格的に始まります。大学卒業後、故郷である宮崎県へ戻った彼は、宮崎県立都城泉ヶ丘高等学校演劇部出身者を中心とする仲間と共に、1990年に劇団クロスピアを立ち上げました。この劇団は1997年に劇団こふく劇場と名を改め、現在に至るまで永山氏の創造活動の基盤となっています。

劇作家としての永山氏は早くから注目を集めました。1995年に発表した戯曲『空の月、胸の石-それでもきみといつまでも』は日本劇作家協会の新人戯曲賞最終選考にノミネートされ、翌1996年には『北へ帰る』が二年連続で同賞の最終選考に残るという快挙を成し遂げます。そして2001年には『so bad year』でAAF戯曲賞を受賞し、その実力を確固たるものとしました。これらの受賞歴は、彼の紡ぎ出す物語と言葉が、演劇界において高く評価されている証と言えるでしょう。

永山氏はまた、2006年から2016年3月までの約10年間にわたり、公益財団法人宮崎県立芸術劇場の演劇ディレクターを務め、宮崎県における演劇の振興と普及に尽力しました。この期間中、彼は多岐にわたる事業を展開しました。例えば、『演劇・時空の旅』と題した自主制作公演シリーズでは、自身の演出手腕を遺憾なく発揮し、質の高い舞台を県民に届けました。また、『演劇の学校』では、「演劇かじってみよう」「せりふ書いてみる？」「劇団をつくろう！」といった多様なプログラムを提供し、初心者から経験者まで幅広い層が演劇に触れ、学ぶ機会を創出しました。さらに、『けんげきくんがゆく！』というアウトリーチ活動を通じて、劇場を飛び出し地域へと演劇の魅力を届けました。特に「時空の旅」シリーズでは、古典や近代の名作を積極的に取り上げ、自ら演出を手掛けました。『女の平和』（2009年）、『シラノ・ド・ベルジュラック』（2010年、2014年）、『三人姉妹』（2011年）、『フォルスタッフ』（2012年）、『日本人のへそ』（2013年）、『ゴドーを待ちながら』（2015年）といった作品は、彼のディレクター時代の重要な業績です。

劇作家としては、『so bad year』、『二軍のひと』、『さあかす団、西へ』、『やがて父となる』、『ガンボのおはなし』、『トリオ』、『隣の町』、『青空』、『空の月、胸の石』（および『空の月、胸の石2011』）、『水をめぐる』シリーズ（『水をめぐる』『水をめぐる2』『水をめぐる3』）、『土地／戯曲』、『土地／自博』、『prayer/s』、『昏睡』、『お伽草子／戯曲』、『古事記は歌ふ』、『ただいま』、『ロマンス』、『猫を探す』、『いきたひと』など、多数の戯曲を生み出しています。これらの作品群は、永山氏の多様な関心と表現力を示しており、彼の劇団であるこふく劇場を中心に上演され、多くの観客に感動を与えています。

彼の戯曲は書籍としても出版されており、2022年には而立書房から『永山智行戯曲集 ロマンス/いきたひと/猫を探す』が刊行されました。これは、彼の代表的な作品が活字として残され、より多くの人々に読まれる機会を提供しています。

宮崎県を拠点に、創造、教育、普及といった多角的な視点から演劇に関わり続ける永山智行氏は、地方における演劇活動の重要な牽引者の一人と言えるでしょう。彼の今後の活動にも期待が集まります。

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