永平寺口駅

永平寺口駅：歴史と文化が息づくローカル線の駅

福井県吉田郡永平寺町東古市に位置する永平寺口駅は、えちぜん鉄道勝山永平寺線沿線にある魅力的な駅です。駅番号はE12。単なる交通の要衝であるだけでなく、歴史的建造物や豊かな自然環境、そして地域文化とが調和した、多くの物語を秘めた場所でもあります。

歴史の重み：大正時代から続く軌跡

永平寺口駅の起源は、1914年（大正3年）に京都電燈越前電気鉄道の駅として開業したことに遡ります。当初は「永平寺駅」という駅名でしたが、1927年（昭和2年）に現在の「永平寺口駅」へと改称されました。その後、京福電気鉄道への事業譲渡や路線の延伸・廃止を経て、幾多の変遷を経験。2000年代初頭には事故による運休期間を挟みながらも、2003年にはえちぜん鉄道に事業譲渡され、現在に至ります。2014年には新駅舎が完成し、近代的な設備と歴史的建造物を融合させた、新しい姿を見せています。

旧駅舎と旧京都電燈古市変電所は、国の登録有形文化財に登録されており、その歴史的価値の高さが認められています。これらの建造物は、永平寺口駅の長い歴史と、地域の変遷を物語る貴重な遺産として、大切に保存・活用されています。

駅構造：歴史と現代が交差する空間

2014年に完成した新駅舎は、国道416号沿いに位置し、旧駅舎とは反対側に建てられています。改札口とホームは踏切で結ばれており、島式ホーム1面2線と単式ホーム1面1線の計3線を有する地上駅です。通常は島式ホームが使用され、単式ホームは朝夕の一部列車のみに使用されます。旧駅舎は改装の上、地域交流館として利用されており、歴史と現代が共存する空間となっています。新駅舎の建設前は、京福永平寺線のプラットホームが残っており、かつての賑わいを偲ばせる痕跡も残っています。

利用状況と周辺環境：永平寺への玄関口

永平寺口駅は、曹洞宗大本山永平寺への最寄りの駅として、多くの参拝客が利用しています。駅周辺には、永平寺町役場や図書館、中学校などの公共施設の他、本覚寺などの寺院、九頭竜川、そして永平寺緑の村などの観光スポットが点在しています。また、パークアンドライドのための駐車場も整備されており、車でのアクセスも便利です。

バス路線も充実しており、京福バスや永平寺町コミュニティバスが発着。永平寺や周辺地域へのアクセスをサポートしています。特に、永平寺への直通バスは、多くの観光客にとって便利な交通手段となっています。

アクセスと観光：便利な交通の要衝

永平寺口駅は、えちぜん鉄道勝山永平寺線を利用してアクセスできます。福井駅から電車で約30分という好立地も魅力です。駅周辺には、徒歩圏内に様々な施設があり、観光拠点としても最適な場所です。

また、永平寺線跡地は遊歩道「永平寺参ろーど」として整備され、2020年には自動運転レベル3の自動運転車の営業運行も開始されました。

その他：映画のロケ地としても有名

永平寺口駅は、映画『男はつらいよ 柴又慕情』のロケ地にも使われており、映画ファンにとっても馴染みのある場所です。歴史と文化、そして自然が調和した永平寺口駅は、単なる駅としてだけでなく、地域の魅力を象徴する存在として、これからも多くの人の記憶に刻まれ続けることでしょう。

参考文献

寺田裕一『日本のローカル私鉄2000』ネコ・パブリッシング、2000年8月1日
川島令三『【図説】日本の鉄道中部ライン全線・全駅・全配線 第5巻 米原駅 - 加賀温泉駅』講談社、2010年8月20日
* 『週刊歴史でめぐる鉄道全路線 公営鉄道・私鉄28 えちぜん鉄道 福井鉄道・北陸鉄道・のと鉄道』朝日新聞出版、2011年10月2日

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