永平路

永平路の概要

永平路（えいへいろ）は、かつて中国河北省盧龍県一帯に存在した歴史的な道路である。この道は、モンゴル帝国とその後の大元ウルスの時代に設置されたもので、当初は平灤路と呼ばれていた。平灤路は、チンギス・カンの末弟であるテムゲ・オッチギンを始祖とするオッチギン王家の統治する領地であった。

歴史的背景

永平路は、唐代の平州や遼代の盧龍軍、さらに金代の興平軍を前身としている。チンギス・カンは最初の金朝への遠征の際、彼の弟たちや国王ムカリと共に「左翼軍」を率い、遼東・遼西から南下して山東半島を攻略した。この時、永平路の地域も次第にモンゴル帝国の勢力下に組み込まれていった。

金朝遠征の成功後、チンギス・カンは彼の配下の王や将軍に、彼らが攻略した地域を領地として与えることとなり、永平路一帯もオッチギン家に与えられたと考えられている。1215年にはこの地域は興平府と改名された。

1236年、モンゴル帝国の第2代皇帝オゴデイはチンギス・カン時代に分配された領土を再確認し、永平路に属する平州と灤州をテムゲ・オッチギンの投下領とした。さらに、1260年にはクビライの即位により興平府が路に昇格し、平州・灤州から由来する平灤路と名を改められた。

1287年に、テムゲ・オッチギンの末裔であるナヤンが叛乱を起こした際に、益都路・平灤路の管理者が罷免されたと記録に残されている。このことからも、オッチギン王家の権限が変わらなかったことがうかがえる。

1300年には、水害による影響から平灤路が永平路に改称され、その名は以後広く知られるようになった。

管轄する州県

永平路には、録事司が設置され、6つの県（そのうち4つは永平路の直轄）と1つの州があった。具体的には次のような県と州で構成されていた。

• - 県（4県）

- 盧龍県
- 遷安県
- 撫寧県
- 昌黎県

• - 州（1州）

- 灤州（義豊県と楽亭県を管轄）

参考文献

永平路の歴史に関する文献として、箭内亙の『蒙古史研究』や松田孝一の「オゴデイ・カンの『丙申年分撥』再考(2)」がある。これらの書籍は、永平路やオッチギン王家の歴史を深く探求するための貴重な資料となっている。

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