永末書店

株式会社永末書店

株式会社永末書店（ながすえしょてん）は、日本の出版業界において、歯学という極めて専門性の高い分野に特化し、長年にわたり学術情報や技術知識を提供し続けている出版社です。

設立とその歴史

その歴史は、昭和23年（1948年）に遡ります。永末英一氏によって創業された永末書店は、当初、松風陶歯という企業の一書籍部門として設立されました。これは、歯科技術に関わる分野との深いつながりを示唆しています。設立当初より、歯学の道を志す学生たちの教育基盤を支えるべく、専門的な教科書の刊行を中心に事業を展開してきました。学術的な知識の普及に貢献し、多くの歯学部学生にとって不可欠な存在となっていきました。

その後、設立から十数年を経た昭和37年（1962年）には、組織を改め株式会社として新たな出発を切ります。これにより、出版活動における体制をさらに強化し、歯学専門出版社としての地位を確固たるものとしていきました。

出版物の変遷と多様化

株式会社化以降も、永末書店は歯学部学生向けの質の高い教科書出版を継続してきましたが、時代の変化や歯学医療を取り巻く環境の変化とともに、その出版ポートフォリオは多様化の道をたどります。

現在の永末書店は、学生向けの基本的な教科書に加え、すでに臨床現場で活躍している歯科医師（臨床医）や、歯科医療チームの一員として重要な役割を担う歯科衛生士、そして高度な技術で歯科補綴物などを製作する歯科技工士といった、幅広い歯科医療従事者を対象とした専門書籍の刊行にも力を入れています。これは、学術研究の最前線から得られる最新情報や、臨床現場で役立つ実践的な知識・技術に対するニーズに応えるための戦略的な変化と言えます。臨床の専門書や実用書が増加することで、歯科医療従事者全体の知識・技術向上に寄与し、ひいては国民の口腔衛生の向上にも間接的に貢献していると言えるでしょう。

刊行雑誌『ZERO』

永末書店は、単行本や教科書にとどまらず、定期刊行物も発行しています。その一つが、歯学分野の専門雑誌『ZERO』です。このような雑誌は、最新の研究成果や臨床の進歩、新しい技術動向などをタイムリーに伝える役割を果たしており、専門家にとって継続的な学習や情報収集のための重要な媒体となっています。

歯学専門出版社としての役割

歯学という専門分野は、常に進化し続けています。新しい研究成果、治療法の開発、技術の革新などが日々行われています。このような状況において、永末書点のような専門出版社は、学術的な知見を整理し、信頼性の高い情報源として提供するという重要な役割を担っています。学生への基礎教育から、臨床現場での継続教育、そして専門性の深化に至るまで、歯学に関わる全てのフェーズにおいて、高品質な出版物を通じてその発展を支えています。

設立から70年以上の歴史を持つ永末書店は、日本の歯学界における知識・技術の普及に欠かせない存在として、これからもその専門性を活かした出版活動を続けていくことでしょう。

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