永末英一

永末英一の生涯

永末英一は、1918年1月2日に福岡県で生まれ、1994年7月10日に心不全のため76歳で亡くなりました。彼は政治家として、また海軍軍人として、激動の昭和時代を生きました。

海軍軍人としての経験

旧制第三高等学校を経て、1941年に東京帝国大学法学部政治学科を卒業した永末は、南満州鉄道に勤務した後、海軍短期現役主計科士官として出征します。

軽巡洋艦「五十鈴」での庶務主任、ラバウル航空隊付を経て、駆逐艦「春雨」の主計長、重巡洋艦「摩耶」の主計長として、レイテ沖海戦に参加しました。1944年10月23日、摩耶は米潜水艦によって撃沈され、永末を含む約700名の生存者は駆逐艦「秋霜」に救助されます。その後、戦艦「武蔵」に移乗しますが、翌日にはシブヤン海での空襲で武蔵も沈没。再び、永末たちは駆逐艦「島風」に移乗し、翌日のサマール島沖海戦に参戦します。

レイテ沖海戦後、永末は第二艦隊副官として戦艦「大和」に乗艦。12月上旬に日本へ帰投しますが、その帰路で戦艦「金剛」と駆逐艦「浦風」が米潜水艦の雷撃により撃沈されるという悲劇にも遭遇します。

これらの経験から、永末は「大艦巨砲主義」について、「巨砲を大艦が積んでいるのであるから『巨砲大艦主義』と私は言う」と述べています。

その後、永末は第二相模野航空隊、舞鶴海兵団に勤務し、海軍主計大尉として終戦を迎えました。

政治家としての活動

戦後、永末は京都市議、京都府議を経て、1959年6月の参議院選挙に日本社会党公認で京都選挙区から出馬し、初当選を果たします。1960年1月には民社党の結党に参加し、1963年にはハーバード大学へ留学もしています。

1963年11月には、衆議院議員に初当選。以来、連続3回当選を果たしますが、1971年に衆議院議員を辞職し、京都市長選挙に立候補するも落選。しかし翌年、再び衆議院議員に返り咲き、1990年まで連続7回当選を果たしました。

1979年5月には、民社党国対委員長に就任。1985年4月には、佐々木良作党委員長の辞任後の党大会で、春日一幸党常任顧問の「長老支配」を公然と批判し、副委員長に昇格。1988年のリクルート事件では、塚本三郎党委員長の汚職疑惑を受け、翌年2月に委員長に就任します。

当時、党内では自公民路線を志向する勢力と、社公民路線を志向する勢力との間で、常に路線対立がありました。

1989年7月の参院選では、社会党が躍進する一方、民社党は議席を減らします。永末は、社会党や公明党との選挙協力や社公民連合政権協議が原因であると批判を受けました。1990年2月の衆院選では、民社党は大きく議席を減らし、永末は責任を取って委員長を辞任します。

1993年6月、永末は政界を引退しました。

死去と栄典

1994年7月10日、永末英一は心不全のため京都市内の病院で亡くなりました。享年76歳。叙正三位。

1991年には、叙勲一等授旭日大綬章を受章しています。

永末英一は、激動の時代を生き抜き、海軍軍人、そして政治家として、その足跡を歴史に刻みました。

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