永谷敬三

永谷敬三（1937年 - 2020年）は、福岡県福岡市博多に生まれ、広島県立廿日市高等学校を経て、1959年に一橋大学経済学部を卒業しました。大学では中山伊知郎ゼミに所属し、経済学の基礎を築きました。

大学卒業後、大蔵省に入省しましたが、1963年からはハワイのイースト・ウエスト・センターの給費生として、佐藤隆三に師事し新古典派経済学を学びました。1965年からはフルブライト奨学生としてブラウン大学に留学し、1968年6月にはジェローム・ステイン教授の指導の下、経済学博士号を最短記録で取得しました。

1968年からはブリティッシュコロンビア大学の教授として教鞭をとり、1979年にはカナダ国籍を取得しました。その後、1997年には神戸大学経済学部の教授に就任し、2000年に退官、神戸大学名誉教授となりました。また、2004年には流通科学大学の学長を務めました。1991年にはカナダ経済学会の副会長も務めるなど、カナダの経済学界においても重要な役割を果たしました。

永谷教授は、経済学の研究活動に励む一方で、日本の経済政策や社会問題にも強い関心を持ち、積極的に意見を発信しました。特に、日本の米国追従姿勢を批判し、独自の視点から日本経済のあり方を考察しました。

主な著書には、経済学の専門書である『貨幣経済の理論』や『金融論』に加え、カナダでの生活経験を基にした『カナダ住みたい国』、日本経済を考察した『カナダから経済学者が見たなかなかの国ニッポン』、『日本経済学』などがあります。また、社会問題に関する著書として、『危うし「人の国」ニッポン』や教育問題を経済学の視点から分析した『経済学で読み解く教育問題』など、幅広いテーマで執筆活動を行いました。晩年には『これからだ!日本経済』を著し、日本経済の将来について提言を行いました。

永谷敬三は、経済学者としての卓越した知識と国際的な視野を持ち、日本の経済や社会のあり方に対して独自の提言を行った人物として、その功績は高く評価されています。

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