中山伊知郎

中山 伊知郎の生涯と業績

中山 伊知郎（なかやま いちろう、1898年9月20日 - 1980年4月9日）は、近代経済学の発展に多大な貢献をした日本の著名な経済学者です。彼は東京商科大学（現在の一橋大学）で学び、1939年に経済学博士の称号を取得しました。その後、一橋大学の初代学長として大学の礎を築き、名誉教授としても高い評価を受けました。1963年から1980年まで日本学士院の会員を務め、1968年には文化功労者として表彰されました。

生い立ち

伊知郎は福島県の平（現在のいわき市）で生まれました。父、中山朝之助は三重県宇治山田で新聞社を経営し、その影響を受けて育ちました。旧制宇治山田中学と神戸高等商業学校を卒業した後、1923年に東京商科大学本科を卒業し、同年に助手となります。大学在学中には福田徳三のゼミで学び、高等試験行政科に合格。その後、1927年にはボン大学に留学し、そこで経済学者シュンペーターの指導を受けました。

学問の歩み

帰国後、伊知郎は東京商科大学の講師、助教授、教授を経て、1949年には同大学の学長に就任しました。特に戦時期には、理論的な研究を重視した「純粋経済学」の立場から経済学を発展させました。また、1940年代から50年代に掛けて、さまざまな学術的な役職を歴任し、経済政策や労使関係に関する講義を行いました。

伊知郎は1961年に日本統計学会の会長を務め、1973年には初代社会経済国民会議議長に任命されるなど、経済学界での影響力を強めていきました。この他にも、彼は日本学術会議の副会長や文化功労者としても活動していました。1970年代には日本計画行政学会の初代会長などにも就任し、幅広い分野での貢献が評価されています。

教え子たち

伊知郎の教え子には多くの著名な経済学者が含まれています。例えば、荒憲治郎や篠原三代平、板垣與一などが彼のゼミで学び、後に一橋大学の名誉教授として活躍しました。教え子たちは伊知郎の教えを受けることで、各分野での研究や政策形成に寄与しています。

著書

中山伊知郎の著作は多岐にわたります。彼は単著として『戦争経済の理論』や『近代経済学の展開』などを出版し、経済学の理論と実践に関する重要な視点を提供しました。また、編著としても『統計学辞典』や『資本』など複数の学術書を手掛けています。彼の作品は今もなお多くの研究者にとって重要な参考文献となっています。

功績と受賞歴

彼はその業績により、従二位勲一等旭日桐花大綬章や勲一等瑞宝章を受章しました。1980年には特旨をもって位四級が追陞され、学界での地位を確立しました。

まとめ

中山伊知郎は、経済学の発展に寄与するとともに、多くの後進を育て上げた優れた教育者でした。彼の学問は今に至るまで影響を与え続けており、彼の業績は日本の経済学界において不朽のものとなっています。

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