永豊 (砲艦)

永豊艦（えいほう）の歴史

永豊（えいほう）は、清朝および中華民国の海防艦として歴史的に重要な役割を果たしました。これは永翔級砲艦の2番艦であり、孫文の死後には「中山」と改名されました。艦は多くの政治的事件の舞台となり、その存在は歴史の流れを見守ってきました。

建造と艦歴の始まり

1894年、清朝の北洋艦隊は黄海海戦で全艦を失った後、海軍再建が急務となりました。これに伴い、政府は巨額の投資を行うことになり、海軍の強化に取り組むことになりました。1910年、海軍大臣に就任した載洵は薩鎮氷提督と共に、ドイツやイギリスなどの列強から新艦の建造を発注しました。その中で、日本の三菱造船所および川崎造船所に依頼し、永豊を建造しました。

艦の建造費は当時の日本円で68万円に達し、清朝は五つの銀行からの借款によってこの費用を賄いました。1912年6月5日に進水し、公式運転を経て1913年に中華民国に引き渡されました。「永豊」はその後第一艦隊に配備され、初代艦長には林霆亮が任命されました。

護法運動への参加

1917年、海軍総長の程璧光が率いる艦隊の一員として、永豊は護法運動に参加しました。第一次世界大戦後の混乱期、永豊は広州での戦闘や護法艦隊の指揮に関与し、さまざまな戦闘に参加しました。1922年には孫文が新たに広東護法軍政府を再建し、その中で永豊は重要な役割を果たしました。

特に、孫文が艦から指揮を執った際には戦闘が続き、艦は数度の攻撃を受けるなどの激しい戦闘が繰り広げられました。しかしながら、孫文はその後逃避の途上で艦を離れ、永豊は新たな艦長を迎えることとなりました。艦は何度も中山へと名前を変えられつつ、歴史の渦に巻き込まれていきます。

中山艦事件とその後

1926年、中山艦の艦長であった李之竜中将は、蒋介石の命令に従い広州に寄港しようとしましたが、これは共産党のクーデターと見なされ、李中将は逮捕される事態が起きました。その後、艦は新たな指揮のもとで様々な戦闘に参加し、国民党の戦争に巻き込まれていきました。

また、1932年には南京国民政府の第一艦隊に編入されることになり、長江への配備も行われました。このように、艦は多くの歴史的な場面に登場し、戦局を左右する重要な役割を果たしました。

最期と復元

しかし、艦は1938年の武漢攻略戦中に日本海軍によって攻撃を受け、最終的に沈没しました。当時の乗組員99名のうち、艦長を含む25名が亡くなりました。この遭難から約50年後の1986年には引き揚げ計画が発案され、1997年に引き揚げられました。

引き揚げ作業では、多くの貴重な遺物が発見され、現在は武漢中山艦博物館として一般公開されています。永豊から中山艦への変遷は、歴史の証人としての艦の重要性を象徴しています。

永豊の歴史は、単なる艦船の物語ではなく、当時の中国が直面していた多くの困難や波乱の象徴でもあります。その存在は、今後も多くの人々にその歴史を伝え続けることでしょう。

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