薩鎮氷

薩鎮氷 (さつ ちんひょう) の生涯と業績

薩鎮氷（1859年3月30日 - 1952年4月10日）は、清末から民初にかけて活躍した著名な海軍軍人および政治家です。彼は、清末・民国における海軍の指導者として知られ、軍艦の操縦や国家の防衛に関する広範な知識を持っていました。

初期の教育と留学

薩鎮氷は、名門薩氏に生まれ、1869年に福州の馬尾船政学堂に入学します。彼はそこで天文や操舵を学び、1872年には首席で卒業。その後、1877年にはイギリスとフランスに留学し、船舶の建造と操縦の技術を磨きました。特に、グリニッジ王立海軍大学校での学びが彼の海軍キャリアに大きな影響を与えました。イギリスでの経験を通じて、彼はさまざまな海域での実習に参加し、世界各地の海軍技術に触れました。

日清戦争までのキャリア

1880年に帰国後、薩鎮氷は「澄慶」の一等航海士に任命され、その後も多くの艦に携わります。日清戦争が勃発した1894年には、「康済」の艦長を務め、威海衛で日本軍の攻撃を受けた際には防戦に尽力しましたが、結果的に戦争は清の敗北に終わります。

海軍の再建と政治への関与

1896年、海軍の再建に携わる機会を得た薩鎮氷は、自強軍に加わり、様々な職責を経験しました。1905年には広東水師提督に昇進し、海軍の再編が必要とされる中で指導的役割を果たすことになります。1910年には海軍統制に就任し、今まで壊滅的だった艦隊の再建を行いました。

1911年、武昌起義が始まると、薩は艦隊を率いて対抗しますが、内部には革命派を支持する声が高まり、最終的には艦隊を離れ、福州へと逃れました。彼のこの決断は、彼自身の将来に大きな影響を与えることとなります。

北京政府とその後の活躍

1912年の清朝滅亡後、薩鎮氷は呉淞商船学校校長に任命され、続いて海軍上将位を得ます。彼は様々な職務を経て、1915年には陳其美ら革命派との戦闘に従事し、その後も海軍の指導的役割を担います。1918年には福建軍の指揮を執り、自らの地位を固めます。

1920年代には福建省の実権を握ることに成功し、福建の行政を担うようになります。しかし、1926年に国民革命軍が福建に侵攻すると、薩は再び下野を余儀なくされます。

晩年と評価

国民政府が成立した後も、薩の名声は高く、多くの要職を歴任しますが、次第に政界から身を引き、福州の社会福祉事業に従事しました。最終的には、海軍上将の地位を授与されたものの、晩年は民間で過ごすこととなります。1946年には海軍の重要な地位を受けましたが、1952年に94歳で亡くなるまで、彼の人生には多くの歴史的瞬間が刻まれています。

薩鎮氷は、その優れた海軍指導者としての能力に加え、様々な困難にも直面しながら、日本の海軍からも信頼を寄せられた人物でした。%

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