永野村 (神奈川県)

永野村（ながのむら）

永野村は、明治時代の町村制施行に伴い誕生し、昭和初期に横浜市へと編入されるまで存在した村です。かつて神奈川県鎌倉郡の東部に位置しており、現在の神奈川県横浜市港南区の西部地域がこれに該当します。

概要

神奈川県の南東部、当時の鎌倉郡東部に広がる区域を管轄していました。丘陵地帯と谷戸が入り組む、自然豊かな地域でした。村の存続期間は、明治22年（1889年）4月1日から昭和11年（1936年）10月1日までのおよそ47年間です。

村名の由来

村が成立する際に合併した複数の旧村の名称を組み合わせて名付けられました。具体的には、旧永谷村から一字を取った「永」と、旧上野庭村および旧下野庭村から共通する一字を取った「野」を組み合わせることで、「永野村」という新たな村名が生まれました。これは、合併に参加した主要な村々の歴史やアイデンティティを継承しつつ、新しい自治体としてのまとまりを示すための命名方針と言えます。

沿革

永野村の歴史は、明治時代に実施された大規模な行政区画の再編から始まります。

1889年（明治22年）4月1日
町村制の施行という近代的な地方自治制度の導入に伴い、永谷村、上野庭村、下野庭村、そして平戸村の一部（特に飛び地となっていた区域）が合併統合され、永野村が正式に発足しました。この合併により、村域内には合併前の旧村名を継承する形で、永谷、上野庭、下野庭、平戸の四つの「大字」が設けられ、これが村の基本的な区画単位となりました。

1936年（昭和11年）10月1日
村はその歴史に幕を下ろし、当時の横浜市に編入されました。この編入と同時に永野村は廃止され、その区域は横浜市中区の一部として組み込まれることになりました。横浜市への編入に伴い、旧村内の大字は再編成されました。具体的には、大字上野庭と大字下野庭は統合されて「野庭町」となり、大字永谷は「上永谷町」と「下永谷町」に分割されました。さらに、下永谷町は大字平戸の区域を編入し、その範囲を広げました。

廃止後の行政区画の変遷

横浜市に編入され永野村が廃止された後も、その区域は市の行政区再編の中でいくつかの変遷を経験しました。

1943年（昭和18年）12月1日
横浜市では行政区の分増設が行われ、それまで中区の一部であった区域のうち、寿警察署および大岡警察署の管轄区域が分離独立して南区が新設されました。これにより、旧永野村の区域は中区から新設された南区の一部となりました。

1969年（昭和44年）10月1日
南区から港南支所管内が分区し、新たに港南区が設置されました。この行政区再編により、旧永野村の区域（一部を除く）はその大部分が新設された港南区の一部となりました。ただし、この際に下永谷町の一部、特に字山谷と呼ばれていた地域は、地理的に隣接していた六ツ川三丁目に編入され、「六ツ川四丁目」として南区に残されました。そのため、旧永野村の区域は、現在では主に港南区に属していますが、一部は南区にも含まれています。

交通

永野村が存在していた期間には、村域内を通る鉄道路線はありませんでした。現在、旧村域内には横浜市営地下鉄ブルーラインが通り、上永谷駅や下永谷駅などが設置されていますが、これらは永野村が廃止された後の高度経済成長期以降に開業したものです。

現在の町名

旧永野村の区域は、横浜市の行政区画変更や住居表示の実施を経て、現在では主に港南区および一部が南区の以下の町名として継承されています。

港南区

住居表示実施地区
全域が含まれる地域：上永谷、下永谷（1丁目から4丁目まで）、東永谷、芹が谷、東芹が谷、丸山台
一部が含まれる地域：下永谷（5丁目、6丁目）、日限山、日野、日野南（5丁目から7丁目まで）
住居表示未実施地区
全域が含まれる地域：上永谷町、野庭町

南区

住居表示未実施地区
六ッ川四丁目

関連項目

神奈川県の廃止市町村一覧

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