江亜 (客船)

江亜（こうあ） - 大惨事を招いた旅客蒸気船

江亜（こうあ）、中国語では江亚轮（江亚輪）、英語ではSS Kiangyaとして知られるこの船は、中華民国の旅客蒸気船です。1948年12月3日に黄浦江が長江に流れ込む地点で爆沈し、当時の中国において最も深刻な海難事故を引き起こしました。この事故は20世紀の中国海洋史の中で最大級のものとされています。

概要

この蒸気船の歴史は興亜丸として日本の播磨造船所で建造されたことから始まります。江亜は元々貨客船として建造され、1938年には日本の日清汽船によって3,300総トン級の浅喫水型貨客船のひとつとして命名されました。しかし、建造中に東亜海運が設立されたため、興亜丸は東亜海運の所有となりました。戦後、中華民国海軍に接収された後、国営海運会社・招商局に譲渡され、名前も江亜に変更されました。以降、江亜は上海と寧波を結ぶ航路に投入されました。

沈没の経緯

1948年12月4日、江亜は上海から寧波へ向けて出港しましたが、その航海は悲劇的な運命に見舞われました。船の進行中、黄浦江河口外で大日本帝国海軍の機雷に接触し、船尾が破壊され沈没しました。この時、江亜には多くの乗客が乗船しており、特に冬至の祭祀のために寧波へ帰る在上海の寧波人や、国共内戦の影響で避難を余儀なくされた難民が多数含まれていました。公式の乗客名簿によると2150人が乗船していたとされていますが、多くの密航者も潜んでいたため、正確な犠牲者数は不明です。元々の定員は1186人であったにもかかわらず、2740人から3900人の命が奪われたと考えられ、700人から1000人の生存者が救助されたと言われています。

沈没後の展開

事故後、江亜は1956年に河川の浚渫作業中に引き揚げられました。その後、1957年に慰霊祭が開催され、58年には中華人民共和国の中国長江航運集団によって再び貨客船として運航されることになりました。1966年には「東方紅8号」と名前を変え、1983年には退役しました。その後、長年にわたり武漢市で岸壁に係留されることになりました。1992年に船籍が抹消され、2000年6月には解体のために売却されました。

解体作業中の2000年7月8日、温州市で機関室に火災が発生し、船体は焼失しましたが、解体作業は続けられ、2001年2月には完了しました。現在、船の舵輪が寧波の博物館に大切に展示されています。

まとめ

江亜の悲劇は中国の海洋史において決して忘れられない印象を与えています。事故が引き起こした影響は今なお語り継がれており、その記憶は未来における海の安全を考える上でも大切にされるべきものです。

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