江刺りんご

江刺りんご

江刺りんごは、岩手県奥州市江刺地区で栽培されているリンゴのブランドです。その特徴は、色づきの良さ、高い糖度、そして甘さと酸味の絶妙なバランスが織りなすコクのある味わいです。

江刺りんごの特徴

江刺地区は、昼夜の寒暖差が大きく、石灰やリン酸を豊富に含む土壌が広がっています。この恵まれた自然環境を活かし、江刺りんごは栽培されています。

栽培方法にも工夫が凝らされており、わい化栽培という方法を取り入れています。これは、木の大きさを抑えることで、太陽の光を均等に浴びせ、果実の品質を高める技術です。また、江刺りんごは、通常リンゴ栽培で行われる果実袋をかけずに栽培されます。これにより、太陽の光を直接浴びて育ち、より色鮮やかで濃厚な味わいになります。

江刺りんごは、特定の品種を指すものではなく、ジョナゴールド、サンふじ、シナノゴールドなど、様々な品種が栽培されています。2010年には、新品種「紅ロマン」も誕生しました。

栽培方法

江刺りんごの花は、ゴールデンウィークの頃に咲き始めます。受粉は、ミツバチやマメコバチなどの昆虫の力を借りるほか、人の手による人工授粉も行われます。

5月下旬頃には、摘果作業が行われます。これは、日照時間が短いという江刺地区の環境に合わせて、養分を集中させ、残った果実を大きく育てるための作業です。8月のお盆明け頃には、摘葉作業と玉回し作業が行われ、太陽光を均等に当てることで、リンゴの色づきを良くします。

江刺りんごは、袋を被せずに栽培されるのが特徴です。これにより、太陽の光を最大限に浴びて、甘みと色づきが増します。収穫は10月頃から始まり、選果、出荷されます。

等級

江刺りんごには、特選、特秀、秀、○秀、特の5つの等級があります。最も品質が良いとされる「特選」は、収穫量全体のわずか1%に過ぎません。特選の江刺りんごは、1箱（10kg、28個入り）が100万円以上の高値で取引されることもあります。江刺りんごの糖度は13～14度と、一般的なリンゴ（11～12度）よりも高く、そのまま食べるのはもちろん、リンゴジュースやゼリーなどの加工品としても楽しまれています。

ブランド

「江刺りんご」は、岩手江刺農業協同組合（JA江刺）が地域団体商標として登録している地域ブランドです。JA江刺の選果施設で、色、大きさ、形、糖度などが厳しくチェックされ、基準を満たしたリンゴだけが「江刺りんご」として販売されます。正規品は、「江刺りんご」のロゴが入った箱や袋に梱包されています。JA江刺に出荷している生産者であっても、許可なく産地直送販売や個人販売を行う場合は、「江刺りんご」の商標を使用することはできません。

歴史

江刺地区でのリンゴ栽培は、1927年頃から始まったとされています。1960年代には、バナナの輸入自由化によりリンゴの価格が暴落し、栽培面積が減少しました。しかし、1971年に「江刺市りんご同好会」が設立され、わい化栽培という新しい技術を取り入れることで、リンゴ栽培の再興を目指しました。1973年には、「小倉沢りんご生産組合」が設立され、農林省の「りんごわい化栽培モデル園設置事業」のモデル地区に選ばれ、本格的なわい化栽培が始まりました。

産地

江刺りんごの産地は、岩手県奥州市江刺地区のみです。標高差によって平場、中間、山手の3つの地帯に分けられ、それぞれの地帯に適した品種が栽培されています。

脚注

奥州市
ふじ (リンゴ)

外部リンク

JA江刺による解説
わい化栽培によるブランドづくり「江刺りんご」「ふじ」（いわて純情通信WEB第17号〈2003年11月号〉）
京北スーパーの特集ページ「ざ・けいほくOnline」より
江刺りんご（紅ロマン）

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