江原神社

江原神社（こうげんじんじゃ）

江原神社は、かつて朝鮮の江原道春川郡（現在の大韓民国江原特別自治道春川市）に存在した神社です。この神社は、日本の国家神道に基づいて設立され、地域社会において重要な役割を果たしました。

祭神

江原神社では、以下の神々が祀られていました。

天照大神（あまてらすおおみかみ）
明治天皇（めいじてんのう）
国魂大神（くにたまのおおかみ）
素戔嗚尊（すさのおのみこと）

特に、素戔嗚尊が祀られているのは、春川の牛頭山が『日本書紀』に記された素戔嗚尊が降臨したとされる新羅の曽尸茂梨の比定地の一つであるという伝承に基づいています。

歴史

江原神社の歴史は、1913年（大正2年）に春川邑内の鳳儀山に皇大神宮の遙拝所が設けられたことに始まります。その後、1915年（大正4年）に神社寺院規則が施行されたことを受け、廃祠を避けるため、要仙堂里に神社を創立する申請が行われました。1918年（大正7年）3月14日には春川神社の創立が許可され、同年8月17日に地鎮祭が行われました。そして、1919年（大正8年）6月30日に社殿が竣工し、7月7日に鎮座祭が執り行われました。

1936年（昭和11年）8月11日には、江原神社は道供進社に指定され、道から神饌幣帛料が供進されるようになりました。1937年（昭和12年）8月23日には、国魂大神と素戔嗚尊の増祀が許可され、1938年（昭和13年）6月16日には、道社としての地位を明確にするため、社号を江原神社と改称しました。その後、1937年には奉賛会が組織され、紀元2600年を記念して国幣社への列格を目指し、社殿の整備が進められました。そして、1941年（昭和16年）10月1日には、全羅南道光州府の光州神社とともに国幣小社に列格されました。

しかし、第二次世界大戦における日本の敗戦に伴い、1945年（昭和20年）11月17日に江原神社は廃止されました。

建築様式

江原神社の主要な建物には、本殿、拝殿、楼門などがあり、その建築には朝鮮の様式が取り入れられていました。これは、日本の神社建築とは異なる独特の特徴を持っていました。

現在

江原神社の跡地にはホテルが建設されましたが、朝鮮風の建築様式であったため、ほとんどの建物は破壊を免れました。旧宮司宅、楼門、石段、石畳などはホテルの施設の一部として現在も利用されており、当時の面影をわずかに残しています。

参考資料

* 青野正明「植民地期朝鮮での｢内鮮一体｣と江原神社」 『近代日本の歴史的位相』（大濱徹也編 1999年（平成11年） ISBN 4-88708-256-8）

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