江口寿史の爆発ディナーショー

『江口寿史の爆発ディナーショー』は、1992年に第38回文藝春秋漫画賞を受賞した、江口寿史によるギャグ漫画作品集です。1988年から1989年にかけて『週刊漫画アクション』で連載され、その後単行本として刊行されました。

本書の特徴は、多様なジャンルの短編作品をオムニバス形式で収録している点にあります。一話完結の4ページという短いながらも、江口寿史の持ち味が凝縮された、密度の高いギャグの数々が詰め込まれています。

収録作品は、大きく分けて以下のテーマに分類できます。

正義の人たちシリーズ: 怪獣映画をパロディした、痛快なヒーローギャグ。
ハードボイルドシリーズ: ハードボイルド小説を独特の視点で風刺した作品群。
理想の家族シリーズ: 完璧すぎる家族の姿をコミカルに描いた、ブラックユーモア溢れる作品。
恥・ず・か・し・いシリーズ: 性的なユーモアを大胆に描いた、刺激的な短編たち。
しりとり家族シリーズ: しりとりを通して描かれる、温かい家族の物語。
ジョイナーシリーズ: 予測不能な展開と、タイトルの意外性に笑える作品。
漫画パロディシリーズ: 『ねじ式』や『巨人の星』など、様々な漫画作品をパロディした作品群。
イメージコミックシリーズ: 音楽の歌詞を基にした、ビジュアルな作品。
* その他: 社会風刺や、作者自身の体験を基にした作品など。

これらの作品群は、それぞれ独自の面白さを持ちながらも、全体として江口寿史の幅広い表現力とユーモアセンスを感じさせる構成になっています。単行本では、連載時の作品に加え、描き下ろし作品も多数収録。さらに、目次をレストランのメニュー風にアレンジするなど、装丁にも作者のこだわりが反映されています。

特に『正義の人たち』シリーズ、『ハードボイルドシリーズ』、『理想の家族シリーズ』、『恥・ず・か・し・いシリーズ』、『しりとり家族シリーズ』などは、後に『日本漫画家大全・江口寿史自選傑作集』や『青少年のための江口寿史入門 A Young Person's Guide to Eguchi Hisashi』といったベスト版にも収録され、高く評価されています。

単行本未収録だった作品も、後年の作品集『江口寿史のお蔵出し』や『江口寿史の犬の話、くさいはなし、その他短篇』で日の目を見ることとなりました。

『江口寿史の爆発ディナーショー』は、『寿五郎ショウ』、『江口寿史のなんとかなるでショ!』と併せて「ショー三部作」と呼ばれ、その中でも集大成的な位置づけにあるとされています。単なるギャグ漫画にとどまらず、社会風刺や人間観察の要素も含まれており、多様な層の読者を楽しませる作品集と言えるでしょう。

各作品には、様々な漫画や映画、音楽などが元ネタとして使用されています。これら元ネタへの知識があると、より深く作品を楽しむことができるでしょう。

本書は、江口寿史の初期から中期の作品を網羅しており、彼の作品世界を深く知りたい読者にとって必携の一冊と言えるでしょう。単行本はB5判のハードカバーで、全ページ2色カラー（一部4色）という豪華仕様となっており、コレクターズアイテムとしても価値が高いです。

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