江戸東京たてもの園

江戸東京たてもの園

江戸東京たてもの園（えどとうきょうたてものえん）は、東京都小金井市の都立小金井公園に位置する野外博物館で、失われゆく江戸・東京の歴史的建造物の移築保存を目的としています。江戸東京博物館の分館としても機能し、公益財団法人東京都歴史文化財団がその管理と運営を行っています。

歴史と背景

江戸東京たてもの園の歴史は1954年（昭和29年）にさかのぼります。当初、小金井公園内には「武蔵野郷土館」が設置されました。これは、井の頭恩賜公園にあった武蔵野博物館から移転され、開館されました。武蔵野郷土館閉館後の1993年（平成5年）には、より多くの文化財を展示するために江戸東京たてもの園が開園し、以来、江戸時代から昭和初期までの30棟の貴重な建物が移築され、一般向けに公開されています。園内に展示された建物は、それぞれの建築年代や用途に応じた生活文化が再現されており、訪れる人々に当時の雰囲気を体感させています。

2013年には、最後の復元建物であるデ・ラランデ邸が完成し、全30棟の移築復元が終わりました。その中には、宮崎駿監督の映画『千と千尋の神隠し』からインスパイアを受けた建物も多く、特に園内の銭湯や商家建築は、高い芸術的価値を持っています。

園内の構成

たてもの園は、西、中、東の3つのゾーンに分かれています。

西ゾーン

このエリアでは、武蔵野の農家と山の手の住宅が展示されています。特に、常盤台写真館や三井八郎右衛門邸は注目の施設です。常盤台写真館は昭和初期の住宅地に立つ歴史的な写真館で、その設計は自然光を取り入れる工夫がなされています。

センターゾーン

センターゾーンは格式ある歴史的建物が並び、旧光華殿は江戸東京たてもの園のビジターセンターとして利用されています。高橋是清邸の場面では、二・二六事件で暗殺された政治家の自宅が再現されており、その歴史的背景を学ぶことができます。

東ゾーン

東ゾーンには、下町の町並みが再現されています。ここには、銭湯や商家など、一般市民の日常生活を垣間見ることができる建物が多くあります。子宝湯や鍵屋、万世橋交番などが文化財として展示されて、訪れる人々に大正・昭和期の暮らしの様子を感じさせてくれます。

重要な文化財

この園は、重要文化財や有形文化財に指定されている建物を多く所蔵しています。例えば、旧自証院霊屋は東京都指定有形文化財に指定され、華やかな霊廟建築は、江戸初期の風情を色濃く残しています。また、他にも多くの歴史的建物が園内に存在しており、日本の建築史を学ぶ場としても価値があります。

アクセスと訪問

江戸東京たてもの園へのアクセスは良好で、JR中央線の武蔵小金井駅からバスでの便が便利です。園の北側には緑豊かな背景が広がっており、落ち着いた雰囲気の中で歴史的建造物を訪れることができます。

まとめ

江戸東京たてもの園は、ただの野外博物館ではなく、訪れる人々に歴史を感じさせ、文化を体験させる場所です。現在も多くのイベントや特別展示が開催されており、文化的な体験を提供し続けています。江戸・東京の歴史を学びや感動を得るには、ぜひ訪れてみる価値があります。

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