江東型フリゲート

江東型フリゲートについて

江東型フリゲート、またの名を053K型フリゲートは、中国人民解放軍海軍における特筆すべき艦艇です。この艦は、053型フリゲートを元に設計され、中国海軍初の艦対空ミサイルを搭載した艦として知られています。NATOコードネームで「江東型」と呼ばれていますが、その設計と運用には多くの背景があります。

歴史的背景

創設当初、中国海軍の主力艦はソ連製の50型警備艦を基にした053型フリゲートでした。1960年代には、次世代フリゲートの開発が決定されました。その際、艦対艦ミサイルと艦対空ミサイルの2種類を開発する計画が立てられました。しかし、台湾空軍の空襲による艦船の損失が問題視されたため、艦対空ミサイル搭載型の開発が優先され、053K型が誕生しました。

設計と特徴

053K型は053型フリゲートの設計を基にしており、艦の形状は平甲板船型に改良され、全長や容積などのスペックも大幅に向上しました。動力システムとしてはデュアルディーゼルエンジンが採用され、当初検討されていたCODAG方式は見送られました。この設計は、その後の053型シリーズにも影響を与えることになります。

搭載されている武装には、艦対空ミサイルHQ-61B、艦載砲、機関砲、対潜ロケットなどが含まれます。特にHQ-61Bは、艦対空ミサイルとして重要な役割を果たしていましたが、その性能には限界があり、特に低空での交戦能力には課題がありました。また、HQ-61Bのミサイル発射システムは、アメリカのMk 10に似た形状で、海水による影響を受けやすい欠点を持っていました。

主砲としては、旧型のB-34 56口径100mm単装砲から、新型の79式56口径100mm連装砲に変更されました。また、近接防御用として76式37mm連装機関砲も備えています。このような新たな設計や武装は455K型の特徴としてその後も引き継がれましたが、艦対空ミサイルの性能不足から、大量建造は行われませんでした。

運用とその後

江東型フリゲートは、その後も中国海軍において特異な位置を占めていました。その活躍の一つとして、南沙諸島を巡る緊張局面において艦隊の防空任務を担い、艦対空ミサイルの運用に関する貴重な経験を得ました。しかし、1980年代後半以降、より優れた性能を持つフランス製のクロタルミサイルが導入され、また国産のHQ-7も実用化されると、江東型フリゲートはその役割を終えることとなりました。1990年代初めには退役し、その後は青島海軍博物館に転用され、一部は練習艦として使用されています。

結論

江東型フリゲートは、中国の海軍技術の発展過程や国防政策の変遷を示す重要な艦艇の一つです。その設計や武装からは、中国海軍の戦略的ニーズの変化が反映されています。

もう一度検索