江田幸一

江田 幸一

埼玉県浦和市（現さいたま市浦和区）出身の江田幸一は、1947年10月31日に生まれた元プロ野球選手である。投手として、プロ野球の舞台で約7年間プレーした。

アマチュア時代

埼玉県立上尾高校に進学し、野球部で腕を磨いた。3年生時の1965年には、夏の甲子園県予選で準々決勝まで勝ち進んだが、惜しくも甲子園出場は叶わなかった。高校の同期には、のちにプロ野球選手となる会田照夫がいた。

高校卒業後の1966年、社会人野球の東京ガスに入社。実力を高め、1969年の都市対抗野球大会では、鷺宮製作所の補強選手として出場機会を得た。この大会の初戦（2回戦）となった電電四国との試合で、江田はリリーフとしてマウンドに上がり、好投でチームを勝利に導いた。この一勝は、鷺宮製作所にとって都市対抗における記念すべき初勝利であった。

プロ野球選手として

社会人での活躍が評価され、1969年秋のドラフト会議で東映フライヤーズから4位指名を受け、プロ入りを果たした。球団名が日拓ホームフライヤーズとなった1973年に一軍デビュー。主に中継ぎ投手として起用され、同年7月11日のロッテオリオンズ戦（神宮球場）でプロ初勝利を挙げた。球団名が日本ハムファイターズに変更された翌1974年には、4月19日の南海ホークス戦（大阪球場）でプロ初セーブを記録した。

プロ入り後しばらくは一軍と二軍を行き来する時期もあり、1975年と1976年の2年間は一軍での登板機会がなかった。しかし、プロ野球選手としては非常に小柄な部類に入る身長168cmながら、優れた体の使い方と投球術で、その体格的なハンディを補った。武器はアンダースローから繰り出されるシュートやシンカーといった変化球に加え、打者の手元で不規則に変化するクセ球であった。その独特の投球スタイルは、チームメイトからも一目置かれていたという。

1977年の覚悟と活躍

再起を期した1977年、江田はショート・リリーフとして一軍での活路を見出そうとした。この年は「まず一軍に入る」ことを目標とし、結果が出なければ現役引退も辞さない覚悟でシーズンに臨んだ。しかし、その決意が功を奏したか、前期だけで5勝を挙げる活躍を見せた。

特に印象的な試合として挙げられるのが、同年6月22日のロッテオリオンズ戦（宮城球場）である。先発投手が打ち込まれ、日本ハムが0対4と劣勢の状況でマウンドに上がった江田は、「どうせ負け試合だろう」と比較的気楽に投げていたという。ところが、その後味方打線が反撃を開始し、9回表には土壇場で永淵洋三選手が逆転の2点本塁打を放つという劇的な展開となった。この逆転により、江田には思わぬ形でシーズン5勝目が転がり込んできた。「ツキも運も実力のうち」と試合後に冗談めかして語ったが、本心では大いに喜んでいたという。この勝利は、自身の調子がやや落ち込み、他の投手が復調したことで登板機会が減っていた時期における、約40日ぶりの白星であった。江田はこの勢いに乗りたいと「10勝でも狙いましょうか」と語るなど、自信を深めた。

後期は1勝にとどまったが、9月1日のクラウンライターライオンズ戦（平和台球場）でシーズン最後の勝利を挙げ、この1977年には自己最多となる40試合に登板し、6勝をマークするなど、チームの主力リリーバーとして存在感を示した。

現役引退後

1977年の活躍以降もチームに貢献したが、1979年シーズンをもって現役を引退した。現役最終年のオフには長女が誕生している。

引退後は、1980年の1年間、読売ジャイアンツで打撃投手を務め、プロ野球界に携わった。

江田幸一は、小柄な体格ながらもアンダースローと多彩な変化球、そして精神的な強さを武器に、リリーフ投手としてプロの世界で確固たる地位を築いた選手であった。

詳細情報

プロ初記録

初登板：1973年6月5日 対阪急ブレーブス前期10回戦（後楽園球場）、6回表に3番手で救援登板、3回無失点
初勝利：1973年7月11日 対ロッテオリオンズ前期12回戦（明治神宮野球場）、4回裏無死から4番手で救援登板、5回1失点
初セーブ：1974年4月19日 対南海ホークス前期1回戦（大阪球場）、9回裏に5番手で救援登板・完了、1回無失点

背番号

41 （1973年 - 1979年）
* 95 （1980年）

もう一度検索