池上忠治

池上 忠治（いけがみ ちゅうじ）

池上忠治は1936年7月30日に新潟県で生まれ、1994年6月28日にこの世を去った、日本の著名な西洋美術史学者です。主にフランスの近世および近代美術についての研究を行い、その業績は多岐にわたります。

生涯

彼は東京大学文学部の美学美術史学科を卒業し、その後同大学院の修士課程を修了しました。卒業後は東大の助手として教育に貢献し、神戸大学文学部では助教授としての職務を経て、1981年に教授に昇進しました。池上は57歳で死去するまで、その専門性を活かし、後進の育成にも力を入れていました。

著書と業績

池上の著作は多く、1980年に発表された『フランス美術断章』を皮切りに、1984年には『随想 フランス美術』を著し、朝日カルチャーブックスからも出版されています。特に1993年発表の『ゴッホから世紀末へ ヨーロッパ近代美術の旅』は、その時代の美術を多角的に探求した内容となっており、彼の研究スタイルが色濃く反映されています。

また、編著としては、1980年に小川栄二との共著で刊行された『世界版画美術全集 第3巻 ドーミエ/ドレ 諷刺と挿絵の妙技』があり、同じく1980年には『現代世界美術全集 第8巻 ドガ』も手がけています。さらに、1993年には小学館から『世界美術大全集西洋編 第22巻 印象派時代』と『第23巻 後期印象派時代 Ⅰ』の責任編集を務め、その豊かな知識を多くの読者と共有しました。

翻訳と解説

池上はまた、翻訳や解説の分野でも功績を残しています。例えば、1964年にはジュヌヴィエーヴ・ダリダンによる『日本の彫刻美 フランス彫刻との比較』を翻訳し、1974年にはアンナ・マリア・ダミジェルラの『現代の絵画 2 印象派の画家たち フランス以外の印象派』を共訳しています。その他にも、セザンヌやスーラについての著作も多く手がけており、彼の翻訳は美術史研究における重要な資源となっています。

特に1994年に監訳したバーナード・デンバー編の『印象派全史 1863-今日まで 巨匠たちの素顔と作品』は、印象派に関する包括的な資料として広く利用されています。

池上忠治の影響

池上忠治の研究は、今なお多くの美術史学者や学生に影響を与え続けています。彼の業績により、フランスの美術に対する理解が深まり、後世の研究が一層進展しています。池上の遺した著作と教育は、今後も多くの人々にとって貴重な資源であり続けるでしょう。

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