池内克史

池内克史について

池内克史（いけうち かつし）は、日本におけるコンピュータビジョンの第一人者で、計算機科学の分野で高く評価されている人物です。彼の研究と業績は、画像処理技術やロボティクスの発展に大きく貢献しています。

経歴・人物

池内は大阪府で生まれ、大阪府立茨木高等学校を経て、京都大学工学部機械工学科を卒業しました。その後、東京大学大学院工学系研究科情報工学専攻の博士課程を修了し、「Graph description principle based on image processing by human」というテーマで工学博士の学位を取得しました。この博士論文では、人間の視覚に基づく漢字読み取りの過程モデルを提案し、そのモデルを用いて短時間漢字の読み取り誤りの検証を行っています。

博士号取得後は、MITの人工知能研究所でポスドクとして研究を行い、その後電子技術総合研究所を経てカーネギーメロン大学ロボティクス研究所の研究員となりました。東京大学の生産技術研究所や大学院情報学環で教授を務めた後、マイクロソフトに入社し、現在は米国本社でロボティクス研究グループのマネージャーをしています。

主な研究と業績

MIT人工知能研究所在籍中、池内は明るさ解析と呼ばれる手法の開発に注力し、一枚の画像から奥行情報を抽出するアルゴリズムを提案しました。この研究は、滑らかさ拘束（smoothness constraint）を用いた先駆的なものであり、その後のビジョン技術における進展に大きな影響を与えました。また、Horn教授と協力し、ロボット向けのビンピッキングシステムの開発にも成功しました。

カーネギーメロン大学では、人間の行動を模倣するロボットの開発に取り組み、東京大学ではヒューマノイドロボットに会津磐梯山の踊りを踊らせるプロジェクトを行いました。さらに、アンコールトムのバイヨン寺院の3Dデータの取得や、九州装飾古墳群のデジタルアーカイブの研究でも特筆すべき成果を挙げています。

学会活動

池内は、数々の国際会議でプログラム委員長や実行委員長を務めるなど、学術界でも幅広く活動しています。特に、CVPR、ICCV、ICRAなどの国際会議における影響力の大きい役割を果たしてきました。

受賞歴

数々の名誉ある受賞歴を有し、1998年にはIEEEフェローに選ばれました。2007年には電子情報通信学会フェロー、2010年には日本ロボット学会フェローに認定されています。また、2011年にはIEEE PAMI Distinct Researcher Awardを受賞し、2012年には紫綬褒章を授与されました。

池内はまた、論文賞も多数受賞しており、ICCVやCVPRなどの重要な会議での優れた研究が評価されています。例えば、1990年にICCVでMarr賞を受賞し、その後も日本ロボット学会やVR学会からも数回にわたって賞を受け取っています。

著作

著作としては、『Computer Vision: a reference guide』や『Digitally archiving cultural objects』などがあり、幅広いテーマでの研究成果を公開しています。また、「九州装飾古墳のすべて」や「3次元デジタルアーカイブ」に関する書籍も手がけています。

まとめ

池内克史は、コンピュータビジョン分野における先駆者であり、その研究は多方面にわたって活かされています。彼の業績は、ロボティクス、画像処理、さらには文化遺産のデジタル化にまで及び、学術界だけでなく実社会にも大きな影響を与えています。

もう一度検索