池原ダム

池原ダムの概要

池原ダム（いけはらダム）は、奈良県吉野郡下北山村に位置している、熊野川水系北山川に建設された重要な一級河川用のダムです。このダムは電源開発（J-POWER）によって管理されており、日本でも有数の大規模発電用ダムとして知られています。ダムの高さは110メートルで、国内で最大級のアーチ式コンクリートダムであると同時に、その総貯水容量や湛水面積も大きな特徴です。池原ダムは、下流にある七色ダムとの間で揚水発電を行い、最大で35万キロワットの電力を生産しています。また、ダムによって作られた池原貯水池（池原湖）は、ブラックバス釣りの名所としても有名です。池原ダムは吉野熊野国立公園内に位置し、2005年にはダム湖百選にも選ばれました。

沿革

池原ダムの開発は、熊野川の総合開発計画に基づくもので、1937年に始まります。当時、内務省が選定した64の河川の一つとして、熊野川の開発が進められましたが、昭和二戦期の影響により調査は中断。1947年に戦後復興の流れで、熊野川は再び開発対象として注目されました。建設省と農林省による共同調査が行われ、水力発電・治水のための多目的ダム建設が計画されましたが、巨額の費用対効果が問題となり、1953年には計画が中止されました。

1950年代に入ると、水力発電が再度注目され経済開発の一環として進められ、1954年には「熊野川開発全体計画」が策定されました。この計画の中で、池原ダムは重要なダムとして位置づけられました。最初は重力式ダムとして計画されていましたが、経済性からアーチ式コンクリートダムへの変更が決定されました。1962年には工事が始まり、1965年にダムが完成しました。

ダムの特徴

池原ダムは、重力式ダムに比べてコンクリートの使用が抑えられるよう設計されており、工程の効率も考慮されています。完成後、池原発電所は1970年代初頭までに14万キロワットの発電が可能となり、後に更なるアップグレードが行われました。ダム本体には洪水調整機能は備わっていないものの、北山川流域の治水に一定の貢献を果たしています。

池原貯水池は近畿地方で最大の人造湖として認知されており、観光名所ともなっています。ここでは釣りやキャンプが楽しめるエリアが整備されており、特にブラックバス釣りで知られており、全国から釣り愛好者が集まります。フロリダバスが棲息することで、サイズの大きなバスを狙う人々も多く、釣り大会も定期的に行われています。

アクセス

池原ダムへは、大阪や名古屋からのアクセスが容易であり、周辺には整備された道路も多数存在しますが、大雨や台風の場合は道路状況に注意が必要です。また、公共交通機関を利用する際には限られた本数しかないため、事前の計画が求められます。ダム周辺の自然環境の保全が重視されており、釣りをはじめとした観光活動も規制されています。

池原ダムは、その壮大な規模と豊かな自然環境の中で、電力供給と観光資源を兼ね備えた重要なインフラストラクチャーとなっています。

もう一度検索