池学淳

池学淳（ちがくじゅん）の生涯と業績

池学淳（ちがくじゅん、朝: 지학순）は、1921年に朝鮮の平安南道中和郡に生まれました。彼は忠州池氏の出身で、洗礼名はダニエルです。池は、カトリック司教として韓国社会に多大な影響を与えた人物であり、その活動は宗教の枠を超え、民主化運動にも深く関与しました。

彼の教育のスタートは、ミッションスクールであるソウルの東星高等学校でした。その後、道義の徳源神学校で学び、南北分断後にはソウルの聖神大学を卒業しました。1951年には、朝鮮戦争中にカトリック教会で司祭に叙階され、釜山や清州などで主任司祭としての役割を果たしました。さらに、ローマのウルバノ大学に留学し、教会法の博士号を取得しました。

1965年に司教に任命され、新たに設立されたカトリック原州教区の初代教区長として奉職を始めます。この役職を担いながら、池は韓国における民主化運動に積極的に関わりました。1970年には、原州文化放送を設立し、若い世代の意識を高めるために金芝河などの青年たちを支援しました。

1974年、民青学連事件に関与したことで逮捕され、監獄で過酷な経験をしました。この出来事をきっかけに、天主教正義具現全国司祭団を設立し、彼は民主化のシンボルとされる存在となりました。226日間の監禁を経て釈放された後も、池は韓国の民主化に向けての活動を続け、多くの人々に影響を与えました。

特に、1985年の南北離散家族対面時には北朝鮮を訪問し、妹との再会を果たしました。この際、妹との信仰に関するやり取りが印象的で、彼女の反応は「天国を信じるなんて！」というものでした。このような経験を通じて、彼は人々の間に信仰が持つ力の重要性を広めました。さらに、朝鮮戦争後、韓国人カトリック聖職者として初めて北朝鮮でミサを奉げたことも特筆されます。

1993年3月12日、持病の糖尿病が悪化し、彼は亡くなりました。その後、彼の意志を継いだ人々により、チ・ハクスン正義平和基金が設立され、チ・ハクスン正義平和賞も制定されました。池学淳は、カトリック司教としてだけでなく、韓国社会における正義や平和の象徴として今なお多くの人々に記憶されています。

彼の生涯は、宗教と社会正義がいかに交わり、影響し合うかを示す一例です。また、彼の業績は、宗教指導者が持つ社会的な責任の重要性を再認識させるものであり、今後の世代にもそのメッセージが引き継がれることを願わずにはいられません。

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