池田宗弘

池田宗弘：彫刻と版画の軌跡

1939年、東京都東村山市に生まれた池田宗弘氏は、日本の彫刻家、版画家として知られています。自由美術協会会員である池田氏は、真鍮を直接素材に用いる独自の技法「真鍮直付け彫刻」で知られ、その精緻かつ力強い作品は高く評価されています。

武蔵野美術学校彫刻科卒業後、池田氏は精力的に創作活動を続けました。1983年には、文化庁在外芸術家研修員としてスペインに滞在。現地でロマネスク美術を1年間研究し、その経験は後の作品に大きな影響を与えたと推察されます。1993年には、作品保存に適した環境を求め、長野県東筑摩郡麻績村に移住しました。

池田氏の活動は彫刻にとどまりません。若手時代には、特撮映画の巨匠、故鈴木昶氏からの推薦を受け、映画美術にも携わっていました。造型会社エキスプロダクションとの関わりもあったと伝えられています。特撮テレビ番組『仮面ライダー』に携わった高橋章氏によれば、同番組で使用されたショッカーのレリーフやベルトのバックルは池田氏の手によるものとのことです。これは、池田氏の多様な才能と幅広い人脈を示す興味深いエピソードといえるでしょう。

数々の受賞歴も池田氏の高い評価を示しています。自由美術展平和賞、彫刻の森美術館大賞展S氏賞、東京野外現代彫刻展区長賞・大衆賞、中原悌二郎賞など、国内の著名な賞を多数受賞。これらの受賞歴は、池田氏の作品が、その芸術性と独創性において高く認められている証といえます。受賞歴の詳細を以下に示します。

第36回自由美術展平和賞（1970年）
第3回彫刻の森美術館大賞展S氏賞（1977年）
第2回東京野外現代彫刻展区長賞・大衆賞（1986年）
第7回中原悌二郎賞優秀賞（1986年）
第20回中原悌二郎賞（1989年）
第18回長野市野外彫刻賞（1990年）
第6回神戸具象彫刻大賞展大賞（1991年）
第3回倉吉緑の彫刻プロムナード特別賞（1992年）
* 第2回木内克大賞野外彫刻展大賞（1995年）

池田氏は、彫刻作品集『池田宗弘作品集』（1979年）、『Hiroko-池田宗弘作品集 1961-2001』（2001年）など、自身の作品を紹介する書籍を出版しています。また、『東村山の昔話』（1978年）、『木版画入門』（1979年）、『巡礼の道絵巻-ロマネスク彫刻紀行（スペイン・サンティアゴへの道）』（1990年）など、自身の経験や技術を伝える著書も多数執筆しています。さらに、C・W・ニコル氏の著書『りんごの花さく湖』（五木寛之訳）の挿絵も手がけており、その活動は多岐に渡っています。

池田宗弘氏の作品は、独自性の高い技法と深い造形力、そして多様な表現方法によって生み出されています。その活動は、日本の現代美術史に重要な足跡を残すものといえるでしょう。これからも、氏の更なる創作活動に期待が高まります。

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