池田綱政

池田綱政の生涯と業績

池田綱政（いけだ つなまさ）は、備前岡山藩の藩主であり、名君として知られています。幼少期は太郎と呼ばれ、後に父である池田光政から偏諱を受けて綱政という名に改名されました。彼は特に後楽園を造営したことで有名です。綱政は江戸時代前期に生まれ、光政の長男として岡山藩の家督を継ぐこととなります。

寛文12年（1672年）に家督を継いだ当初は、父の光政が隠居して藩政を担っていますが、天和2年（1682年）に父が死去した後は自ら藩政に取り組み始めました。光政の治世による藩政安定の反面、岡山藩は財政難に直面していました。綱政はそんな状況を打開するため、財政再建を目指して津田永忠や服部図書を登用し、新たな政策に着手します。

彼の考えは、まず農村を再建し新田を開発することで経済の立て直しを図ることでした。この時期、岡山藩は大洪水といった天災に見舞われ多くの困難がありましたが、綱政は津田を使って児島湾の干拓を行うなどの治水工事に努めました。その結果、農業政策は成功し、財政は徐々に再建されることになりました。

綱政はまた、文化的な側面をもち、元禄11年（1698年）には池田氏の菩提寺である曹源寺を建設します。元禄13年（1700年）には、後楽園の造営を命じ、今では日本三名園の一つとして広く知られるようになりました。彼はそのほかにも、備前吉備津宮や行基開基の岩屋観音への寄進も行い、さまざまな文化事業に力を入れました。

特に興味深いエピソードとして、宝永4年（1707年）に宿泊中に観音が夢に現れ、立ち退くよう警告されたことがあります。綱政は急いで二川宿に向かいましたが、白須賀宿は地震と津波に襲われました。しかし、この時実際には後楽園にいた綱政は能に興じており、その揺れを感じていなかったことも明らかです。彼の死は正徳4年（1714年）で、76歳でした。

綱政は数多くの子供を持ちましたが、そこには後継者問題が潜んでいました。『寛政重修諸家譜』によれば、綱政には実際に14人の子供がいたと言われており、後継者候補者の多くが早世したため、彼の多子は深刻な後継者問題を示す現れと考えられています。

文化面でも、音楽や和歌に非常に優れており、能についても深い知識を持っていました。自ら家臣や領民に能を披露することもあり、その文化的な側面が評価される一方、同時に彼の評価を低める記録も存在します。

また、彼は鳥取藩主の池田綱清と競い合い、岡山藩を本家として扱ってもらうように幕府に訴えかけたことでも知られています。こうした彼の努力は、岡山藩の権威を高めることに寄与しました。

池田綱政の生涯は、文化や財政面で様々な業績を残し、岡山藩をより強固なものにした重要な時代を築きました。彼の葬儀には京文化への憧れが表れ、多くの側室を京から迎え入れるなど、父の気風とは異なる趣味を持つ人物であったことが伝わります。圧政の時代に生きた彼の功績は、今もなお語り継がれています。

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