汪大燮

汪大燮の生涯と業績

汪大燮（おう だいしょう）は、清末民初の時代において、日本や西洋諸国との要職を歴任した著名な政治家及び外交官です。彼の本名は尭兪で、字は伯唐または伯棠と称されました。

初期の経歴と外交職

汪は挙人となった後、清朝の各職を経験します。1902年11月には、日本に留学する学生の監督という重要な役割を果たし、外交分野でのキャリアを開始しました。1905年には、イギリス公使となり、対外的な交渉の場に出る機会が増えます。翌年には外務部右侍郎に昇進し、さらには考察憲政大臣としてイギリスとドイツを視察し、西洋の政体に関する知見を深めました。

1910年には駐日公使に任命され、中国と日本との外交において重要な役割を果たします。この頃から彼の外交的手腕が評価されていくこととなります。

中華民国の成立とその後の役職

中華民国が成立した後の1912年9月、汪は熊希齢内閣の教育総長に任命されると同時に、進歩党に参加しました。翌年には平政院院長、さらに参政院副院長に就任し、民国政府における影響力を増していきます。

1916年には段祺瑞内閣で交通総長をつとめますが、翌月には辞任します。その後、1917年2月には日本への特使として派遣され、大正天皇に対して政府を代表して勲章を授与しました。このように、汪は国際的な場でもその存在感を示していました。

外務総長と臨時国務総理

1917年7月、張勲の復辟失敗後に段祺瑞が再度内閣を組織すると、汪は外務総長に就任します。段が国務総理を辞職した1917年11月には、汪は代理総理として臨時内閣を組織する重要な地位に立ちました。この期間中、彼は外交政策において大きな影響力を持つ存在となります。

1918年12月には、徐世昌大統領の下で外交委員会の委員長を務め、その後は国民外交協会の暫定代理理事長として、国際関係の構築に努めました。さらに、ヴェルサイユ条約に関する案件を審議する外交委員会が設置されると、汪が委員長に選任されました。これは、汪の外交的手腕が国際的に評価されていることの証でもあります。

晩年と著作

1920年1月には北京政府から勲三位を授与され、同年10月には中国紅十字会の会長に就任しました。その後も、ワシントン会議に対応するなど、国際的な場での活動を続けます。1922年には一時的に臨時国務総理兼財務総長に就任しますが、あまり長くその地位に留まることはありませんでした。

最終的には、1929年に71歳で病没します。彼の遺した著作『汪氏振綺堂宗譜 4巻』は、彼の思想を知る上でも貴重な文献とされています。汪大燮の生涯は清末から民初にかけての激動の時代を反映しており、彼の政治的及び外交的貢献は、今日の中国における歴史においても重要な位置を占めています。

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