汲郡

汲郡（きゅう-ぐん）は、中国にかつて存在した郡であり、現在の河南省北部に位置していました。この郡は、晋代から唐代にかけての時代に設置されていました。

概要

266年（泰始2年）に西晋により汲郡が立てられました。当時の汲郡は司州に属し、汲・朝歌・共・林慮・獲嘉・修武の6県を管轄していました。この地域は政治的にも重要な拠点であったと考えられます。

北魏の時代になると、汲郡は北修武・南修武・汲・朝歌・共・山陽・獲嘉の7県を管轄するようになりました。管轄する県が増えたことは、汲郡の重要性が増したことを示唆しています。

東魏の時代には、義州が置かれると、汲郡は義州に転属しました。さらに、北周の時代には衛州が置かれると、汲郡は衛州に転属しました。このように、所属する州が時代によって変わることは、当時の政治情勢の変動を反映しています。

583年（開皇3年）には、隋が郡制を廃止したことにより、汲郡は一度廃止され、衛州に編入されました。しかし、607年（大業3年）に州が廃止されて郡が再び置かれると、衛州は汲郡と改称されました。この時、汲郡は衛・汲・黎陽・隋興・内黄・臨河・湯陰・澶水の8県を管轄する広大な地域となりました。

しかし、618年（武徳元年）に唐が成立すると、汲郡は再び衛州と改められました。その後、742年（天宝元年）には衛州が再び汲郡と改称されましたが、758年（乾元元年）には汲郡は最終的に衛州と改称され、汲郡という名称は歴史の中に姿を消しました。

このように、汲郡は短い期間ではありましたが、中国の歴史の中で重要な役割を果たしました。その変遷は、当時の政治・社会情勢を理解する上で貴重な情報源となります。

もう一度検索