沖津はる江

沖津はる江（おきつ はるえ）

沖津はる江は、1949年（昭和24年）5月31日に群馬県吾妻郡草津町で生まれた日本の元アルペンスキー選手です。大東文化大学を卒業後、美津濃株式会社（現ミズノ）に入社し、1960年代末から1970年代にかけて日本の女子スキー界を代表する選手として活躍しました。

競技者としてのキャリアは、全日本スキー選手権での活躍が特筆されます。1969年（昭和44年）に長野県の志賀高原で開催された第47回大会で、回転種目において初の全国タイトルを獲得しました。この優勝を皮切りに、国内の主要大会で優れた成績を収めるようになります。

国際舞台にも挑戦し、1970年（昭和45年）にはイタリアのヴァル・ガルデーナで行われたアルペンスキー世界選手権に出場しました。この大会では、滑降で35位、大回転で28位、回転で25位、そして複合では18位という成績を残し、世界の強豪が集まる場で経験を積みました。

国内での勢いは止まらず、1971年（昭和46年）に北海道の札幌で開催された第49回全日本選手権では再び回転を制しました。さらに1972年（昭和47年）には、長野県の白馬村で行われた第50回大会で、回転種目での優勝に加えて大回転でも勝利を収め、見事2冠を達成しました。この大会では滑降でも2位に入賞しており、当時の国内における彼女の支配力は明らかでした。

1972年は、地元日本で開催された札幌オリンピックの年でもありました。沖津選手はこの記念すべき大会に日本代表として出場し、世界のトップ選手たちと競い合いました。結果は、滑降で40位、大回転で22位、回転で16位でした。複合競技では12位に入り、各専門種目の合計ポイントで優れた総合力を見せました。

オリンピック後も競技活動を続け、全日本選手権でさらなるタイトルを獲得します。1973年（昭和48年）に長野県の野沢温泉村で開催された第51回大会では大回転で優勝。翌1974年（昭和49年）には、再び長野県の白馬村で行われた第52回大会の大回転を制し、この種目で3連覇という偉業を達成しました。これは、彼女の安定した実力と粘り強さを示す記録と言えます。

1974年（昭和49年）には、スイスのサンモリッツで開催されたアルペンスキー世界選手権にも再び参加しました。この大会では、大回転で26位、回転で27位という成績を残し、世界の舞台での経験を重ねました。

沖津はる江選手は、その明るいキャラクターと競技での活躍から、多くのファンから愛され、「はるちゃん」の愛称で親しまれました。その人気は、後に続く上村愛子選手や伊藤みき選手といった、競技力だけでなく大衆的な人気も兼ね備えたアイドル的な存在のスキーヤーたちの先駆けとも評されており、日本のスキー界における彼女の影響力は単に成績に留まらないものでした。

このように、沖津はる江は1970年代の日本女子アルペンスキー界において、数々の全国タイトルとオリンピック・世界選手権出場という実績を残しただけでなく、その親しみやすい人柄で多くの人々を魅了し、競技の人気向上にも貢献した重要な人物です。

もう一度検索