沖縄弁護士

沖縄弁護士とは



沖縄弁護士とは、沖縄県に限定して弁護士業務を行うことが認められた特別な資格を持つ弁護士のことです。一般的に「布令弁護士」と呼ばれることもありますが、正確には異なる概念です。

沖縄弁護士の成立背景



沖縄が本土復帰する以前、沖縄には二種類の弁護士資格者が存在していました。一つは戦前の高等文官試験司法科（現在の司法試験に相当）の合格者であり、もう一つは米国民政府が制定した「琉球民裁判所制」に基づき資格を得た弁護士（布令弁護士）です。

1972年の沖縄本土復帰に伴い、沖縄の弁護士資格者に対して日本の弁護士資格を付与するための特別措置法が制定されました。この法律に基づき、法務省の司法試験管理委員会（現在の司法試験委員会）は、布令弁護士を対象に、法曹としての学識と応用能力を判定するための選考を実施しました。

この選考を受けなかった者、または不合格となった者は、沖縄県内限定で「沖縄弁護士」として弁護士業務を行うことが認められました。当初は5年間の期限付きでしたが、その後も業務継続が認められています。

沖縄弁護士の業務範囲



沖縄弁護士は、弁護士法第3条に規定される「弁護士の職務」を行うことは認められていますが、沖縄県内の検察官や裁判官になる資格はありません。また、沖縄弁護士の事務所は「沖縄弁護士法律事務所」と称し、沖縄県内に設置することが義務付けられています。

沖縄弁護士は、沖縄弁護士会と日本弁護士連合会が定める会則を遵守する必要があります。日本弁護士連合会においては「沖縄特別会員」として扱われ、選挙権や議決権は与えられていません。

沖縄県内の裁判所やその支部で取り扱われている事件を担当する沖縄弁護士が、県外で弁護士法第3条に規定される事務を行う必要がある場合は、事件を取り扱っている裁判所の許可を得る必要があります。

近年の動向



2016年には、法律で定められた「沖縄弁護士法律事務所」ではなく、「法律事務所」の看板を掲げて業務を行っていた6名の沖縄弁護士に対し、沖縄弁護士会が戒告処分を下しました。これは、沖縄弁護士の業務範囲や事務所名称に関する規定を遵守する必要があることを示しています。

2023年10月1日現在、日本弁護士連合会の沖縄特別会員である沖縄弁護士は3名となっています。

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