沖縄県営鉄道糸満線

糸満線：沖縄県営鉄道の歴史

糸満線は、かつて沖縄県に存在した県営鉄道の鉄道路線で、那覇市の国場駅と糸満市の糸満駅を結んでいました。1923年（大正12年）に県営鉄道の3番目の路線として開業しましたが、太平洋戦争末期の沖縄戦により、1945年（昭和20年）3月に運行を停止し、戦火によって線路施設が破壊されたため、そのまま復旧することなく消滅しました。

路線データ（運行停止時点）

路線距離: 15.0km（国場 - 糸満間）
軌間: 762mm
駅数: 11駅（起終点駅を含む）
複線区間: なし（全線単線）
電化区間: なし（全線非電化）

歴史

1923年（大正12年）7月11日: 国場 - 糸満間が開業。同時に、津嘉山駅、山川駅、喜屋武駅、稲嶺駅、東風平駅、世名城駅、高嶺駅、兼城駅、糸満駅が開設されました。
1934年（昭和9年）5月: 屋宜原駅が開業。
1945年（昭和20年）3月: 太平洋戦争の激化に伴い、運行を停止しました。

駅一覧（運行停止時点）

1. 国場駅（こくば）
2. 津嘉山駅（つかざん）
3. 山川駅（やまがわ）
4. 喜屋武駅（きゃん）
5. 稲嶺駅（いなみね）
6. 屋宜原駅（やぎばる）
7. 東風平駅（こちんだ）
8. 世名城駅（よなぐすく）
9. 高嶺駅（たかみね）
10. 兼城駅（かねぐすく）
11. 糸満駅（いとまん）

接続路線

国場駅: 沖縄県営鉄道与那原線
糸満駅: 糸満馬車軌道

特筆事項

糸満線は、那覇から糸満までの直線距離約10kmに対し、東側に大きく迂回するルートをとっていました。特に、山川駅と稲嶺駅の間では、当時の有力者であった大城幸之一が自身の出身地を通るように線路を曲げたため、南から北へ戻るような独特な軌道になっていました。この区間は「幸之一カーブ」と呼ばれています。

また、終点の糸満駅は、北緯26度7分49-50秒に位置していたと推定されており、外地を除くと当時日本最南端の駅でした。この記録は現在も破られていません（現在の最南端駅は沖縄都市モノレール線の赤嶺駅です）。糸満駅の跡地には、駅の便所と見られる構造物が残されています。

参考文献

今尾恵介（監修）『日本鉄道旅行地図帳 - 全線・全駅・全廃線』 12 九州沖縄、新潮社、2009年。
鉄道省『昭和12年10月1日現在鉄道停車場一覧』鉄道省（覆刻：鉄道史資料保存会）、東京（覆刻：大阪）、1937年（覆刻：1986年）。
帝国鉄道協会（編纂）『帝国鉄道年鑑』（昭和3年版）帝国鉄道協会、東京市麹町区有楽町、1928年。

関連項目

日本の廃止[[鉄道路線一覧]]
廃線
沖縄県の鉄道
* 沖縄県営鉄道輸送弾薬爆発事故

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